建築を超えた「体験」をデザインする、スウィートグラスの宿泊施設
スウィートグラスは宿泊施設の選択肢が豊富。建築に関わる担当が変わっても、デザインの考え方には同じ芯が通っている。場づくりの根底にあるものとは?代々大切にしてきた想いを考察、まとめてみる。
ログキットから始まった宿泊棟は29種50棟へ
1994年、輸入したログキット5棟からはじまった宿泊棟は2025年現在、29種50棟に至る。そのほとんどは、自社スタッフが設計デザインしたもので多様かつ個性的だ。特徴的なのは、自然を活かし、周りとなじむような設計。いろんな制限がある中どうやりくりするか、そこにおもしろさややりがいがある…まさにキャンプの醍醐味と重なる。
試行錯誤で築き上げたオリジナリティ
北軽井沢の自然はスタッフの自慢だ。一方で、ゲリラ豪雨に雷、凍える寒さなど危険な側面もある。
建物の中は安全な空間、外は自然。安全に過ごしたいけど自然も感じたい。スウィートグラスでは、デッキや窓を使って内と外の間となる空間を工夫している。過去のブログを読んでみると「いいとこどりの良い塩梅」をさぐる試行錯誤がおもしろい。(末尾に建築歩み詳細あり)。
▼ハンターテントキャビン(2011-2016)ほぼテントなキャビン、現在はタープのみ残し狼煙サイトへリニューアル
▼満天星屑キャビン(2010-2016-現在)当初は天井が開いて直接星空を見られた…2016年に今の形へリニューアル
▼石窯コテージムギ、暖炉グリルコテージグルマン(2020-現在)屋内が充実の大型コテージ、思い切ってBBQグリルをつけなかったが、夏は需要が多い。BBQはやっぱり大事…の発見につながった
多様で個性的な施設がそろうのは、オープン当初から試行錯誤し、積み重なった成果だ。いろいろなことにチャレンジする、試せる風土がきたもっくにはある。
全体に共通する考え方
「建築というよりサービス業に近いかも」は、ある担当者の言葉。「せっかくなら、来てくれたお客さんにワクワクしてもらいたいよね」と、キラキラした目で語る。
ここでの滞在が少しでもプラスになるように…気持ちが明るくなったでも、出来ることが増えたでも何でも良い、ちょっとした変化を応援するのが、私たちスタッフの役割。フロントも清掃も、スタッフ全員に共通する考え方だ。
ハイグレードなコテージでも、豪華絢爛なグランピングを求めている人にスウィートグラスは適していない。自分の手を動かすことで、新たな気づきや得られる達成感がある。ただ寝るだけの宿泊施設ではなく、暮らしそのものが特別な体験になるのがスウィートグラスのすごいところ。各施設ごとに過ごし方の特徴があるので、選ぶところからたのしみがある。
▼場内には電線がない…配線は地面に埋めて自然を感じられるように
▼キッチンワゴンや手すりも手作り。既製品をつかえば簡単だが、さりげないこだわりがそこかしこに隠れている
常に改善を重ね、進化し続けることで、訪れる人がそれぞれの楽しみ方を見つけられる「場」をこれからも提供していきたい。ぜひ、何度も遊びに来て、お気に入りの季節や施設を見つけてほしい。
建築のあゆみ
1994年:ログキット5棟(うち1つUSログ)、第一サニタリーと管理棟
1995年:インディアンティピ(1995-2017)
1996年:第二炊事棟・サニタリー
1997年:第三炊事棟
1998年:北欧ログ(-2005)・ロフトログキャビン
2000年:トレーラーコテージ
2001年:マッシュルームランド
2002年:林間サイト、ログコテージ(-2012)
2003年:ログコテージS(-2019)
2004年:ドッグラン、ドッグシャワー
2005年:ツリーハウスフォレスト・ドッグフリーキャビン、ツリーハウスマッシュルーム
2006年:カントリーキャビン、フリードッグサイト、ダイニングコテージ(-2022)
2007年:イーグルサイト(-2019)・イーグルキャビン(-2018)
2008年:サンルーフキャビン
2009年:ツリーハウストントゥ
2010年:満天星屑キャビン、ノースランドコテージ、(ルオムの森)
2011年:管理棟レンタル小屋増設、第三サニタリー、第四炊事棟サニ、ハンターテントキャビン*(-2016)、ソロサイト、ビニールハウス
2012年:小ぞう川、おしぎっぱ画廊、地蔵川に橋、バーモントコテージ*、全棟に薪ストーブ設置
2013年:トランポリン、ハンモックキャビン*、ツリーハウスノア*、フードショップ
2014年:樹上回廊、砂場サイト
2015年:トントゥの庭・ファイヤーテラスコテージ
2016年:コロモックの家(-2019)、みみずくキャビン、満天星屑キャビンリニューアル*
2017年:ツリーハウスマッシュルームリニューアル
2018年:焚火の小屋ポロ
2019年:トゥーリ
2020年:ムギ・グルマン、カントリーキャビンリニューアル
2021年:ヨッホー・ウーフ
2022年:狼煙コテージ
2025年:ツリーハウスノッポ