ナラの木活用プロジェクト❷
浅間の大地を表現した ダイナミックな校歌板
東中と西中が統合し、令和5年4月に開校したばかりの「長野原中学校」。
ナラの木活用プロジェクト続編は、その校歌板です。
火山に見立てたナラの額縁や、クリの切り文字など、すべて地元の木材で制作しました。
ナラの木を 火山に見立てた額縁
西中学校のナラの木を使って、新しくできる「長野原中学校」の校歌板を作ってほしい…
当初は、サンドブラストで文字を彫る想定だった。
ところがナラ材はとても堅く削れないという。
文字ではなく、額縁に活かせないだろうか?
木のもつ自然なラインを、浅間の山並みに見立てたデザイン案が採用される。
コナラの大木を見上げながら、二股に枝分かれした部分に目星をつけた。
伐倒後コブを中心に玉切りにするも、重くて運搬車に載せられない。
さらに短く伐って工場に運ぶ。
師走の、浅間おろしが吹きぬける製材工場。
大きな台車に載せられた丸太が、回転する帯鋸のわきを往復し、じょじょに削られていく。
やがて木目が激しく渦巻き、マグマ溜まりのような亀裂のある「火山」が現れた。
木の生命力があふれた表情に、みんなの胸も高鳴る。
クリの詞と カラマツの空
歌詞は、長野原町に縁のある谷川俊太郎さんが書きおろした。
美しい言葉は、美しい文字で現したい。
大阪の業者さんに依頼し、堅いクリ板を手作業で切り抜いてもらうと、温もりある形に仕上がった。
クリはタンニンという渋み成分を含んでおり、鉄分に反応して色が変わる。
その性質を利用し、スチールウールを溶かした酢液に漬けて、きれいな青墨色に染めた。
それを1文字ずつカラマツの板に接着し、細いピンで留めていく。
針葉樹では珍しく黄葉・落葉するカラマツは、長野原の町木でもある。
山や文字を配置すると、背景の木目や節が、風や雲や星のようにも見えてきた。
浅間の麓から生まれた子どもたち歌声が「国々の境を超えて」広がるような、壮大なスケールを感じさせる。
西中のコナラをはじめ、地域の木で作られた校歌板。子どもたちの成長を、末永く見守ってくれることだろう。
ナラの木活用プロジェクト(まとめ)
プロローグ
1:道のりと関わった人たち
2:浅間の大地を表現した 校歌板
3:自然の多様性を伝える 教室札
4:読んで感じる なんの木本棚
5:手触りを楽しむ 木のメモ帳
produced by あさまのぶんぶん