自然と生きて、自然と働く2泊3日。 キッズキャンプ2025 in summer レポート
親元を離れ、仲間と寝食を共にしながら自然の中で過ごす2泊3日。草の香り、火の音、土の感触…。五感で自然を感じる中で、自分だけの新しい「発見」をしてほしい。そんな願いを込めて、キッズキャンプを開催しました。
2025年7月と8月、群馬県長野原町北軽井沢の「TAKIVIVA」で行われた今回のキャンプ。初めての試みとして、AとBの二日程に分けての開催です。各地から集まった子どもたちが、笑顔とちょっとの不安を胸にTAKIVIVAに集い、ここから3日間の物語が始まりました。
※写真はA日程とB日程の様子が混ざっています。B日程は天候の影響で、一部プログラムを変更しています。
※キッズキャンプの詳細については下記のブログよりご確認ください。
みんなで築く「テント」と「関係」
まずは自分たちの“お家”となるテントづくりからスタート。大きな布、長いポール、なかなか入らないペグ…。最初は「これ、できるのかな…」と戸惑っていた子どもたちも、声をかけ合いながら少しずつ形にしていきます。
スタート時、重たいすのこを一人で運ぼうとした子が、ひとりでは設営ができないことを感じたはずです。最初は緊張して仲間に声をかけるのが不安な様子でしたが、設営を進めるごとに自然と仲間とのコミュニケーションが増えていきました。
テントの立ち上げは特に大変。声をかけあってみんなで協力します。
天気の都合でA日程とB日程それぞれ違う場所に設営しました。
テントが立ち上がった時の誇らしげな笑顔は、まるで自分の家を持ったような喜びに満ちていました。
火と向き合う、自分と向き合う
夕食は、自然の火を使った調理です。初日は薪の組み方や道具の扱いなど薪火料理の基本を学び、カレー作りに挑戦。
A日程の2日目は、子どもたちだけでBBQの炭おこしに挑戦。なかなか火がつかず、1時間半かけてやっと炎が上がった瞬間、「やったー!」と声があがりました。その時間は、ただ火をつけるだけでなく、仲間と一緒に悩み、工夫し、喜び合う大切な時間でした。
うまくいかずに気持ちが下がる瞬間もありましたが、最後まで諦めずに「火」そして、挑戦する「自分自身」に向き合ってくれた子供達に感謝しています。
自然の香りを見つける
2日目の朝は香水(チンキ液)づくり。森に出かける前にサンショウの香りを試すと、「うわー!」と顔をしかめる子もいれば、「爽やか!」と笑顔になる子も。感じ方の違いに、みんな驚いていました。
森に出ると、色や形、香りを頼りにお気に入りの植物を探します。ある子どもがブーケのように親指と人差し指で器用にとってくれました。採集ひとつとっても楽しみに変えてしまう子供達の感性は本当に素晴らしいなと感じた出来事でした。
B日程では雨だったのでTAKIVIVAの隣、スウィートグラスにあるおしぎっぱの森で探索。一番右の写真は「早くドアを開けてくれ」と急かされている様子です笑
TAKIVIVAに戻ったら、集めた素材を細かくしてウォッカに漬けて一晩寝かせます。
翌朝、濾過をして瓶に詰めます。出来上がった香水は色も香りもひとつひとつ違っていて、並べるだけで楽しいものでした。
各々好きな野草で香水を作り終わった後、みんなの香水発表会が子供達の企画で始まりました。当初は自然の香りにあまり興味がなかったのですが、自分の香水だけでなく、仲間が作った香水に注目してくれたのは嬉しかったです。
ミツバチがつなぐ自然の恵み
養蜂体験では、防護服に身を包み、ミツバチの巣箱を観察しました。最初は緊張で動けなかった子も、スタッフの話を聞くうちに少しずつ近づき、巣から採れたての蜜を味見。「甘い!でもただの甘さじゃない!」と、花や草の香りに気づく子もいました。
口に入れた時に感じる花や山野草の香りと風味は、まさにミツバチが繋いだ自然の贈り物。
帰ってからは、自分のお土産用に採蜜と瓶詰め作業。大事な蜜だと分かっているからこそ、真剣な表情で1gずつ丁寧に詰めていました。
瓶詰め作業はみんな職人の顔つきです。家族のためにひとり1瓶詰めました。
個性光る、木製時計
最終日は、北軽井沢の木を使った時計づくり。本体の製材は姉妹事業の「あさまのぶんぶん」がおこないました。紙やすりで磨くと、手触りがどんどん良くなります。
「もっとピカピカにする!」と夢中で磨く子、自然な質感を残す子、それぞれの個性が光ります。仕上げには蜜蝋を塗り、蜜蝋と木の香りがふわっと香ります。
年輪の数だけその木が成長を刻んだ証。同じ木材でも樹種や年輪によって特徴が違います。子供達はこの時計と共にどんな成長を刻んでいくのでしょうか。
「発見」をひとつの木に
最後は3日間で見つけた「発見」を葉っぱシールに書き、枝に貼って1本の「木」にしました。
最初に渡したフィールドノートも振り返りに役立ちました。
「火はどうして燃えるのだろう?」「虫がたくさんいた」「友達ができた」――貼られた葉っぱには、子どもたちの気づきと発見がぎゅっと詰まっています。
子どもたちの純粋な発見に、スタッフ自身も多くの学びを得た時間でした。
さいごに
このキャンプが、子どもたちにとって日常をもっとワクワクさせる「きっかけ」になることを願っています。視点を変えて物事を観察し、勇気を出して挑戦すれば、日常の中にもたくさんの「発見」があると知ってほしい。
今回はトライアルで、私たちも不慣れな部分が多かったと思います。それでも最後までついてきてくれた子どもたち、そして私たちを信じて送り出してくださった保護者の皆さま、本当にありがとうございました。
また来年、北軽井沢でお会いできるのを楽しみにしています。