キタコレ#5
ただ、はちみつを売りたいわけじゃない… 「百∞蜜」に込めた、ミツバチと働く理由

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きたもっくが誇るデザインコレクション、第5弾!

きたもっくのグッドデザインコレクション、略して『キタコレ』を紹介する企画。
今回はちみつ界・養蜂界の両面からの新境地を目指す「百∞蜜(ももみつ)」をご紹介します。

ー百年よりももっと先までこの美しい自然を守りたい

そんな思いを込めて名付けられ、2019年より販売を開始した「百蜜(ももみつ)」。採蜜地探し、圃場整備、養蜂、蜜絞り、瓶詰めまでを自社で行う。ミツバチが飛び交った風景がそのまま味わえる「蜂蜜」本来の特性を生かして、地域ごとに取り分けて商品化してきた。

ところが、生産者と販売者と消費者と自然の繋がりが途切れてしまって、世間でいうところの蜂蜜は「甘くてトロッとした体に良さそうなもの」になってしまった。

きたもっくでは養蜂スタイル、商品自体のクオリティともに自信を持ってつくってきたが、「蜂蜜」は「蜂蜜」。当然ながら、それ以外のものにはならない。「蜂蜜」であることに引っ張られてしまうと、採蜜地の風土を、自然をまるごと味わえるものとしては伝えきれない。

養蜂/販売/デザインチーム合同の会議の末(実に半年近くに及んだ)、ロゴもラベルも変えることになった。

デザイン一新!ロゴとタイトルに込めた百蜜の野望

デザインを担当した千葉さん曰く、「できれば現状のまま行きたかった」というのが本音。

ロゴを変えるということは、今年やることを変える証。

お客様に対してだけでなく、生産・販売側の意識も変えるということ。

白熱の合同会議の熱量はそれだけの覚悟を感じられたし、同席することでロゴ変更の必要性も感じた。

ロゴには新しく、∞(無限マーク)を入れることになった。

「百花蜜だから百蜜なのか」という誤解をやんわりと訂正し、自然の循環の意味が加わる。

ペロリと舌を出したようなロゴは、やわらかさ、親しみやすさをベースに、蜜っぽさ、山っぽさ、虫っぽさ、人っぽさを有機的に表現した。

採蜜地のあだ名とでもいうべき、タイトルも変えることにした。

昨年までは、採蜜地の名前とメインとなる蜜源がタイトルになっており、説明を受けなくても想像できるものだった。

しかし今年は、蜂蜜に至るまでのすべてをパッケージングしたい。

ひと瓶の中にその土地のストーリーを詰め込みたかったし、瓶に収まりきらない養蜂の世界や自然を伝えたかった。

年明けからこっち、毎週3時間をかけて喧々諤々話し合ってきた行為を、いい意味で、きたもっくらしいと感じた千葉さん。

その「痕跡」みたいなものを残したくて、手書き文字を採用。

バラバラで、整えられてない手書き文字。

ボールペンでは思ったような線が出せず、4Bの鉛筆で書いた。

線にはムラがあってゆらぎがある。全11タイトルをすべて手書き文字で仕上げた。

パッと見て、何の蜜か分からなくなった「百∞蜜」だが、それを補うものとして、箱入り商品にセットされるパンフレットも新しくした。

きたもっくの特殊な養蜂方法と全体像を表すには、採蜜場所と時期とマニフェストが揃わないと「蜂蜜だが蜂蜜ではない」を叶えられない。

ミツバチに極力負担をかけない持続的な養蜂も「百∞蜜」なら、きたもっくの山仕事や、将来の蜜源となる草木を植えることも「百∞蜜」の一部であり、採蜜地の風景も、ミツバチが花の蜜を集める様子を見学するイベントも「百∞蜜」だ。

ミツバチも、養蜂家も、販売店も、食べる人も、同じ循環∞に生きている。

名称 百∞蜜
タイプ プロダクトデザイン
販売地 ルオムの森、スウィートグラス、近隣の道の駅、セレクトショップ
誕生年 2019年
販売サイト https://luomu.thebase.in/
デザイン・制作 千葉陽介