炊事棟の使い方:焚き火台は洗って良いの?歯磨きは?洗剤は?気になるマナーをキャンプ場スタッフが解説
キャンプ場スタッフのつぐつぐです。
今回は炊事棟の使い方についてご紹介!!
意外と知られていないマナーについて、詳しく説明していきます。
(※2022年7月31日に公開した記事に追記・再編集しています)
炊事棟(すいじとう)は何をするところ?
「炊事」とは食べ物を煮炊きし、調理すること。キャンプ場の炊事棟は、日常生活の「台所」の役割を担っています。
同じ炊事棟でも各キャンプ場によって設備はいろいろ。作業できる範囲が異なります。
スウィートグラスでは、洗い場(水汲み場)としての利用が主。簡単な食材のカットは可能ですが、煮炊きはできません。
▼ スウィートグラスには4つの炊事棟がある(上:第三炊事棟、下:第一炊事棟)
みんなが使う「共有施設」
炊事棟はみんなで使う共有施設です。思いやりを持って使ってくださいね。
キレイに使おう
いざ、使おうと思ったらシンクが汚い…すごくイヤな気持ちになりませんか?
キャンプ場の炊事棟を使うのは、あなたやあなたの家族だけではありません。
排水溝のゴミはそのままにしない、最後にシンク全体をさっと流す
次に使う人のためにキレイを保つよう心がけをお願いします。
排水溝のゴミはその都度片付ける
「排水溝にゴミ置きっぱなし」はマナー違反!!
日常生活では、排水溝のゴミは「ゴミ出しの時にまとめて捨てる」人が多いと思います。でも、キャンプではその都度「自分で出したゴミは自分で回収」をお願いします。
それは「排水溝が詰まる」「カラスなどの野生動物が荒らす」のを防ぐため。
スウィートグラスでは、生ゴミ回収用のポリ袋を各炊事棟に置いています。宿泊場所に持ち帰り、燃えるゴミでまとめて捨ててください。
そもそも、残飯を炊事棟に流すのは、よくありません。食事が余らないように調整する、食器洗いの前に食べ残しは取り除く。汁物など、やむを得ない場合、出たゴミは必ずポリ袋で回収してください。
占有はやめよう
長時間占有したり、場所取りはマナー違反!!
繁忙期は混みます。利用時間をずらす、各宿泊場所でできることは炊事棟に持ち込まないなど時間短縮にご協力ください。
ハミガキ・洗面はなるべく洗面所で
台所で「ハミガキ」「顔を洗う」…許せる?許せない?
自分は気にしない行動でも、嫌がる人がいます。いろんな人が使う炊事棟、みんなが快適に使えるように。できる限り、トイレの洗面所を使ってください。
※スウィートグラスでは、繁忙期の宿泊数に対し洗面所が足りない傾向にあります。洗面所が混んでいる場合は炊事棟のハミガキマークの場所を使ってください。
焚き火台・泥汚れは基本NG
基本的に炊事棟で灰や泥汚れのある物を洗うのは、好ましくありません。
シンクが汚れるだけでなく、排水溝が詰まったり、下水処理に負担がかかったり…。
オススメする焚火台の片付け方は…
- ハケや小さなホウキで灰を払う
- 焦げ付き・油汚れはスクレーパーや新聞紙で落とす
- 気になる人はぬれタオルで拭き上げるとキレイになります
※BBQグリルは、あらかじめアルミホイルを敷いておくと油汚れがつきにくいです。
※専用の洗い場をもうけているキャンプ場もあるので、受付時に確認をしてくださいね。
■スウィートグラスでは用途別に水道あり■
どうしても水道で洗いたい人は、外水道(鉄板洗い場)で洗ってください。※冬期は凍結のため外水道は使えません。
灰を充分落とし、新聞紙などで汚れを拭き取ってから洗ってくださいね。使用後はシンクの周囲をキレイにしてください。
ペグなどの泥汚れ
ペグは水道で洗わずにぞうきんで拭き取りましょう。砂利は乾けば落ちやすいです。
なぜ自然にやさしい洗剤を使うの?
多くのキャンプ場で「自然にやさしい洗剤」を使うよう勧めています。
下水処理能力が高くない
都会にくらべ、キャンプ場や山小屋は下水処理能力がそれほど高くありません。
処理能力を超えた排水があると、汚れたままの水が河川に流れてしまいます。負荷をかけないように油や食べ残しが排水に混ざらないよう工夫が必要です。
汚れを流さない工夫
魚が住める綺麗な水に戻すには、小さじ2のマヨネーズで「300㍑の風呂8杯分」が必要です。
油だけではなく、味噌汁(200mlで4.7杯)や牛乳(200mlで10杯)も実は負担が大きい。
▼ 参考:環境省「自然にやさしい浄化槽のひみつ」
すぐにできる汚れを流さない工夫は…
- 残さず食べる
- 食器を洗う前にキッチンペーパーや古紙で油、ドレッシングなど拭き取る
- 鉄板や網は焼き切り、焦げはスクレーパーでこそげ落とす
石けんと合成洗剤の違い
「洗う」とは「汚れを水に溶かして流す」こと(KOKOCARAより)。洗剤には油と水を仲良くさせる「界面活性剤」が入っています。
石けんは、動物や植物から取れる「油脂」と灰などの「アルカリ」でできています。合成洗剤は、主に石油を原料に化学合成されたもの。まだ合成洗剤の歴史は浅く、未知の環境負荷が全くないとも言い切れません(シャボン玉石けんより)。
合成洗剤と一口に言ってもどれくらい・どんな化学物質が入っているのかにより、環境負荷は異なります。エコ洗剤として有名なフロッシュやヤシノミ洗剤は石けんではありませんが、含まれる界面活性剤が少なく分解されやすい植物由来です。
下水処理能力が高くないキャンプ場では、できる限り自然に戻りやすい洗剤を使いたい。食器用洗剤だけではなく、洗濯洗剤、シャンプーも。キャンプに行くなら洗剤は自然に分解されやすいものをなるべく使ってくださいね。
…一方で、石けんも合成洗剤も、原料として使われることが多いパーム油。
原産国のボルネオなどではアブラヤシの農園を拡大するために熱帯雨林が伐採され、野生動物の生息環境を悪化させてしまう問題も起きています(旭山動物園より)。
あちらを立てればこちらが立たず…
なんなら、洗剤を使わない工夫がもっとできるはず。食器を洗う前に油を拭き取るだけで、使う洗剤の量が格段に変わります。
■スウィートグラスではミヨシ石けんさんの洗剤(ハンドソープ・食器洗いせっけん・白いふきん洗い)を売店で販売しています。
節水にご協力ください
浅間北麓は地下水や河川・天候にも恵まれているので、水に困ることは滅多にありませんが、水も有限な資源。節水にご協力ください。
まとめ:人にも環境にもやさしく
炊事棟は「自宅の台所」とは違います。いろんな人が使うからこそマナーをまもって気持ちよく使いたい。
この先、何十年、何百年とキャンプを楽しめるように。
「周りの人に迷惑をかけない」のがキャンプの大切なマナーですが「環境に配慮する」のも重要なマナーです。
汚れたままの水が河川に流れないように、油や食べ残しを排水に混ぜない、使う洗剤を見直す…など炊事棟の使い方を見直してみてくださいね。
▼ キャンプのマナーについてはこちらも参考に ▼
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参考:もっと知りたい人へ
・パルシステム「1日に何㍑の水を使っている?すぐできる夏の自由研究」
・シャボン玉せっけん「石けんと合成洗剤の違い」
・ハピキャン「キャンプの定説はウソかホントか」
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