自然のなかで活字文化を育むアクションプログラム
Author Residence in 群馬/北軽井沢 2026
『豊かさ』の根底を支えるひとつの根っこ、“活字”文化。その拠点ともいえる全国の書店数はこの20年で半減し、文筆活動を含む創造的な活動に不可欠な五感を解放できる場所(自然を体感できる場所)や機会は都市部を中心に減少している。
このような背景のなか、きたもっくは自然のなかで活字文化を育む場づくりとして『Author Residence in 北軽井沢スウィートグラス 2025』を2025年2月に開催した。
活字に携わる人たちがキャンプ場に数日間滞在し、自然や焚火を通して新たなひらめきや気づきを得る取り組みだ。
滞在最終日には、レジデンス参加者によるトークセッションを一般参加者も交えて行った。
「何もしない時間」が自分の言葉を生み出す
そこで得られた学びは、自然の中で何もしない時間、つまり内省に深く没頭する時間こそが、一人ひとりの内なるアートの感性を刺激し、普段の生活では生まれ得ない、生々しく本質的な「言葉」を生み出すということ。
そして、2年目を迎える『Author Residence in 群馬/北軽井沢 2026』では、この学びをさらに深化させる。
アーティストと呼ばれる方々だけでなく、「一般」の方々にも幅広く参加していただき、それぞれの内なるアートの感性を刺激する機会を提供。
自身のユニークな感性に興味を持ち、それと深く向き合い、表現していくこと。
このプロセスこそが、アートの感性が満ち溢れる社会を築き、最終的にはコミュニケーションの基盤である活字文化を豊かにすると信じている。
Author Residence in 群馬/北軽井沢 2026
通常は貸切運営をしているミーティング施設「TAKIVIVA」を、今年は個人でもグループでも参加できるレジデンスとして開放する。
1年目と同様、活字に携わる多様なアーティストにも参加していただき、参加者同士がよりフラットに交流し、予期せぬ偶発的な出会いが自然に生まれる場を創造する。
参加者には滞在中に生まれた感覚を活字にしてもらい、それをシェアする場を用意。
活字を読むだけでなく、自ら活字を生み出す能動的なアクションこそが文化を育む根っこになる。
自然の中で何もしない時間を過ごし、対話を楽しみ、火にあたりながら本を読み、そして自身の想いを活字にする。
これは、内面とじっくり向き合うことができる、期間限定の特別なアートレジデンスだ。
群馬 北軽井沢が持つ「言葉」を生み出す力
自然や焚き火の魅力を最大限に活かせる群馬、そして北軽井沢には、古くから感性を刺激し、表現を促してきた豊かな歴史がある。
毎夏を北軽井沢で過ごし、数多くの詩を残した詩人 谷川俊太郎もその一人だ。
今回のレジデンス期間中、谷川氏の言葉の世界に触れることができる特別な「谷川俊太郎文庫」を開設する。
群馬県内の書店と連携し、内省を深める書籍の販売も企画中。
人だけでなく、本(活字)との新たな出会いも創出する。
この取り組みは、活字文化を「拡張」する機会の創出、未来のフェスの開催へと繋げていく計画だ。
リトリートの本質を問う
このレジデンスは、一方的に何かを受け取るだけの「癒やしの場所」ではない。自身の内面を耕し、そこから得た気づきを次なる創造へと繋げる。
まさにリトリートの本質を体現する場となる。
リトリートは受動的な癒しの機会ではなく、自らが持つ力を自ら解放する、能動的なアクションだ。
『Author Residence in 群馬/北軽井沢 2026』は、2026年1月に開催を予定。25年10月には詳細をリリースする。