ナラの木活用プロジェクト❹
木の物語を読んで感じる なんの木本棚

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浅間小学校の教室札を作るために、地域から集まった9種類の木々。
それぞれの知られざる物語を、みんなに伝えたい!
そんな思いから、手にとって読むことができる「なんの木本棚」が生まれました。

なんの木本棚

それぞれの板に書かれたデザインとストーリーをまとめました。

1年生:イチイ(一位)

1年生:イチイ(一位)
【分類】 イチイ科/イチイ属
【別名】 アララギ・オンコなど

寒さに強く樹形が整いやすいため、寒冷地の庭木や生垣に植えられる。
緑の葉に赤い実が映えて、一足早いクリスマスツリーのよう。
名前の由来は、仁徳天皇が作らせた木笏(しゃく)。
出来が素晴らしく「正一位」を授けたと伝えられる、縁起の良い木。

成長が遅いため木目が密になり、針葉樹のなかでも堅い。
削りたては鮮やかな緋(ひ)色で、染料にも使われた。
深い飴色に経年変化し、アイヌの木彫りや飛騨の一位細工など、工芸品に好んで使われる。

浅間大滝キャンプ場に生えていた木から作りました。

2年生:ニセアカシア

2年生:ニセアカシア
【分類】マメ科/ハリエンジュ属
【別名】ハリエンジュ(針槐)

初夏になると、浅間高原を真っ白な花と甘い香りで包む。
房ごと天麩羅にして、花を食べる地域もある。
ミツバチが好み、一般に「アカシア蜜」と呼ばれる良質な蜂蜜がたくさん採れる。
本来のアカシアは、ミモザに似た全く別の木であるため、「ニセアカシア」という呼び名がついた。

腐りにくく丈夫な木材は、食器や床などに使われる。
木目が粗く、はっきりした縞模様になることも。

北軽井沢エリアの伐採木から作りました。

3年生:サクラ(桜)

3年生:サクラ(桜)
【分類】 バラ科/サクラ属

日本各地に自生する、野生種のヤマザクラ。
園芸種のソメイヨシノと異なり、花より先に若芽が出る。
長野原町での開花は5月初旬ごろ。
深紅色の若葉と白い花びらのコントラストが美しい。

木材としての人気も高く、家具や木工品など幅広く使われる。
肌目がなめらかで、磨くと美しい光沢がでる。
ピンクのやさしい色から、深みのある飴色へ経年変化する。
丈夫で趣のある樹皮は、茶筒や小箱などの樺細工に使われる。

長野原町の木工所に眠っていた古材から作りました。

4年生:シラカバ(白樺)

4年生:シラカバ(白樺)
【分類】 カバノキ科/カバノキ属
【別名】 シラカンバ

噴火や山火事などで、植生がリセットされた場所に生えるパイオニアツリー。
白い樹皮が景観に映えるため「高原の白い貴公子」と称される。
樹皮が薄茶色のダケカンバは、より標高の高い山地に自生し、大きく成長する。

油分を多く含んだ樹皮は剥がれやすく、焚き付けにしたり、編みこんで籠にしたり。
軽く柔らかな木材は、淡い色調を活かした木工品に使われる。

北軽井沢エリアの伐採木から作りました。

5年生:ゴヨウマツ(五葉松)

5年生:ゴヨウマツ(五葉松)
【分類】 マツ科/マツ属
【別名】 ヒメコマツ

日本固有の松。
アカマツやクロマツは、細長い針のような葉が2本1組になる二葉松だが、5本で束になるので「五葉松」と呼ばれる。
幹や枝が柔らかく樹形を作りやすいことや、葉や樹皮に個性がでるため、盆栽や庭木に好まれる。
「御用を待つ」という語呂あわせから、商いの場で縁起物として飾られた。

木材は白く軽く、木目が細やか。
あまり一般的ではないが、木工品や建具に使われることもある。

軽井沢高原ゴルフ倶楽部の伐採木から作りました。

6年生:ロクロギ

6年生:ロクロギ
【分類】 エゴノキ科/エゴノキ属
【別名】 エゴノキ・チシャノキ

初夏、枝いっぱいに鈴のような白い花を咲かせる様から「森のシャンデリア」と称される。
果実は有毒でエグ味があるので、「エゴノキ」と名付けられた。
エゴサポニンという天然の洗浄成分が含まれており、水と混ぜて泡立たせ、洗濯に利用したという。

木材は非常に粘りがあって割れにくく、ロクロ細工に最適。
とくに和傘づくりに不可欠で、他の樹種では代用できない。

北軽井沢小学校に生えていた木から作りました。

2組:ニレ(楡)

2組:ニレ(楡)
【分類】 ニレ科/ニレ属
【別名】 アカダモ・エルム

樹皮をはぐとヌルヌルした液が生じるため、「濡れ」から「ニレ」と呼ばれるようになった。
開花時期が異なる春ニレと秋ニレがある。
風で滑空する翼果を実らせ、種子を拡散する。
新緑が美しく、広い場所では雄大な樹形に育つ。
アイヌやギリシアの神話にも登場し、古来から愛されてきた。

木材は堅く木目も美しいが、乾燥させるのが難しい。
粘りがあって割れにくく、曲げ加工に適する。

二度上山に自生していた木から作りました。

3組:ミズキ(水木)

3組:ミズキ(水木)
【分類】 ミズキ科/ミズキ属

春先に枝を折ると樹液が滴ることが、名前の由来。
鹿のツノのような枝が扇状に広がり、白い花や黒い実が、遠目からでもよく見える。
冬になると、若枝が赤く染まり美しい。
小正月の「どんど焼き」では、枝先に団子をつけて焼く「お繭玉」の風習があり、火に強いミズキが重宝される。

白くきめ細やかな木材は、絵付けしやすくコケシに最良。
折れにくいので、祝い箸にも使われる。

北軽井沢エリアの伐採木から作りました。

7:ナラ(楢)

ナラ(楢)
【分類】 ブナ科/コナラ属

浅間牧場の「カルメンの木」をはじめ、地域を代表する樹種。
よく似たコナラとミズナラは、葉柄の長さで見分ける。
秋に実るドングリは、ツキノワグマやシカなど、野生動物の大事な食料になる。

木材は堅く重厚感があり、「虎斑」と呼ばれる特徴的な紋様が現れる。
海外で「ジャパニーズ オーク」と評されるミズナラは、家具・床・酒樽などに使われ人気が高い。
薪にしても一級品で、火持ちが良い。
特に水分量の少ないコナラは、炭焼きに最適。

西中学校に生えていたコナラから作りました。

ナラの木活用プロジェクト(まとめ)

プロローグ


1:巨木が校歌板になるまで
2:浅間の大地を表現した 校歌板
3:自然の多様性を伝える 教室札
4:読んで感じる なんの木本棚
5:手触りを楽しむ 木のメモ帳
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