台風予報のキャンプ、行く?行かない?悪天候時の注意点まとめ
キャンプ場スタッフのつぐつぐです。
強い風と雨をもたらす台風は、キャンプの大敵!!
…かといって、台風の進路がズレれば「全然平気だった」なんてこともよくあります。せっかく予約が取れたのに、「行くか行かないか」とても迷いますよね。
後悔しない判断をするには、情報収集がとっても重要。
今回は「注意が必要な目安」や「実際に台風のときどうなるか」、過去の状況をまとめました。
自然の厳しさを正直に包み隠さずお伝えします!判断の参考にしてくださいね。
(※2021年9月6日に公開した記事を追記・再編集しました)
台風の基礎知識
台風とは、海上で湿った空気を吸い込んで、雨雲と強風を伴って進む低気圧のこと。
中心気圧が低いほど強い風が吹きやすい。
目安は…
- 上陸時990hPa前後が弱い台風
- 960hPa以下は強い台風
…なようです(※大きな被害を出した2019年19号は上陸時955hPa)
天気予報では「風が吹く範囲と強さ」で勢力を表しています(大型・超大型:強い・非常に強い・猛烈な)
※細かい情報は気象庁の「台風について」解説を見てください。
▼ 気象庁の台風情報に追筆しています
※よく見る台風の経路図、白い予報円は「ここを通るかも」を表しています。未来に進むにつれ円が大きいのは、勢力が大きくなるのではなく「かも」の範囲が広くなるからです。
一般的な傾向をまとめると…
- 進行方向の右側は強風になりやすい
- 上陸時の中心気圧が960hpa以下は強風になりやすい
スウィートグラスは、群馬県と長野県の境に位置するため台風の左側に当たることが多く、千葉などの沿岸部とくらべると比較的被害は少ない印象です。
暴風域から外れても大雨・強風になることがある
実際の雨量や風の強さは台風だけではなく周りの状況にも左右され
例1:2018年台風12号は、暴風域から外れていたにもかかわらず強風、場内が大荒れに。
※上陸時970hpa(三重県伊勢市付近)、通常進路とは逆の西に進んだため、スウィートグラスは台風の右側に
例2:2019年台風6号は、中心気圧が高い(勢力は強くない)台風でしたが、長時間の大雨によりテントが2件半壊する被害がでました。
※上陸時1000hpa(三重県南部)、スウィートグラス周辺通過時は勢力が弱まり熱帯低気圧に変わっていた
ピンポイントの天気予報だけでは、
移動経路が大丈夫なのか、どれくらい警戒したら良いのか…全体の規模感や周りの状況を把握するには、テレビやラジオのニュ
また、気象庁のwebサイトで進路予想をよく見て、
テントサイト、台風だとこうなる
天候の影響をもろに受けるテント泊は(台風の規模にもよりますが)心配があれば無理をせずキャンセルをする選択を。
空きがあればコテージ・キャビンに変更するという手もあります。
◆林間エリアは落枝・倒木に注意!!
森の中や木に囲まれている場合、風は弱まります。
その代わりに枝がたくさん落ちます。
樹高15m以上の背の高い木は、風の影響を受けやすいので要注意です。
長さ1m以上、太さ腕ほどの枝が地面をえぐって落ちていたこともありました。
▼ 2019年10月12日:台風19号通過後の林間エリアに落ちていた枝
▼ 2017年10月25日:台風21号でジェロニモの滝近くのキハダが倒れました
【 スウィートグラスでの対応 】
定期的に危険木の伐採やメンテナンスをしていますが、全ての危険を排除できる訳ではありません。
▼ 場内整備の様子はこちら
危険と判断した場合、他のテントサイトやコテージ・キャビンに移動の提案をします。また、林間エリアに泊まる場合は車に傷が付かないように背の高い木が少ないエリアに車の移動をお願いしています。
◆ひらけている場所は強風に注意
植栽に囲われていない場所・周囲に建物がない場所は強い風が吹きやすいです。
テントの張り綱はすべてペグダウンするのはもちろん、タープは状況に応じてたたむ必要があります。焚き火や炭を使ったBBQも状況に応じて控えてください。
【 スウィートグラスでの対応 】
浅間山があるので、沿岸部にくらべるとテントが吹き飛ぶほどの強風(10m/s)が吹くことはまれですが、タープが風にあおられることはよくあります。
特に大空サイト・浅間ビューサイト・デビューサイトは、植栽に囲われていないので風にあおられやすいです。細いポールやワンタッチタープ(簡易タープ)は壊れやすいので強風時はたたんでください。
▼ 右側に写っているのが簡易タープ
◆水没注意
強い雨が長時間続くと、普段水はけが良い場所でも水たまりができたり、川のように水が流れたり、水没に注意が必要です。
- 設営時に地面の傾斜をよく見る(低い場所・凹んだ場所にテントを張らない)
- ペグ・ロープは全て張る(正しく設営されていないと本来のテントの力を発揮できません)
滅多にありませんが、長時間の大雨により天井に水がたまり、テントのポールが歪んだことが過去にありました。
風や雨でロープが緩んでしまうことがあります。定期的に緩みがないか、水がたまっている場所がないか確認をしてください。
【 スウィートグラスでの対応 】
通常水はけの良い土地なので、雨が弱まれば徐々に水は引いていくはず。ですが、台風で大雨が長時間続くとなかなか水が引きません。
あらかじめ、なるべく水が溜まりにくい場所に割り振りを心がけていますが、混雑時にかかる連泊の方は避けられないことがあります。
台風でキャンセルが出た場合、よりよい区画へお引っ越しが可能です。雨がひどくなる前に移動の提案をこちらからすることがあります。
▼ こちらの雨の日に気をつけたいことまとめも参考に
森・川は要注意
【 スウィートグラスでの対応 】
雨・風が強い時はおしぎっぱの森に入らないでください。
いつもなら膝下でちゃぷちゃぷする程度の地蔵川が濁流になります。森全体が音を立てて揺れるような日は、立派な木の枝さえも簡単に落ちます。
強風・豪雨の時、おしぎっぱの森は危険です。◆豪雨・雷・台風後の森で遊ぶときは…
定期的にメンテナンスを行っていますが、予期せぬ事態が起こらないとも限らないのが自然の中で遊ぶということ。おしぎっぱの森で遊ぶ際は、足元や頭上に十分ご注意のもと遊んでください。お客様自身でも十分注意いただき、お気づきのことはスタッフまでお声掛けください。
停電・断水を覚悟して
断水は滅多にありませんが、停電はよくあります。
コテージ・キャビンに泊まる方もランタンを持参されることをオススメします。
▼ 2019年台風19号接近時は断水を想定し施設のお客様にもジャグを配布、あらかじめ水をためて備えました
移動経路は問題ないか?交通情報もチェック
スウィートグラスが位置する群馬県長野原町は、沿岸部に比べれば台風の直撃が少なく、暴風域に入ってもトラックが横転したり看板が吹き飛んだりという被害はほとんど聞きません。
その代わりに、倒木で国道がしばらく通行止めになったり、細い峠道が雨量制限で通行止めになったり。
最新の交通情報を確認して安全運転でお越しください。
通行止め情報:群馬県http://www.kendobousai-gunma.jp/
行かないなら必ずキャンプ場へ連絡を
天気予報やニュースを見て、不安があるなら無理をせずキャンセルをする選択を。
台風直撃や警報級の悪天候が予想される場合は、キャンセル料を取らないキャンプ場も多くあります(キャンプ場ごとに判断が異なるので、webサイトなどでよく確認をしてくださいね)。
キャンセル料が出る出ないにかかわらず、来場しない場合は必ずキャンプ場に連絡(キャンセル操作)を忘れずに。
スウィートグラスでの対応
キャンセルフリー対応
台風の場合、スウィートグラス(群馬県長野原町)が高い確率で暴風域に入ると予想される場合はキャンセル料をいただいていません。
※気象庁の情報をもとに判断し、webトップにてお知らせします。お知らせ前にキャンセルした方は、キャンセル料が発生します。
(長野原町に気象警報が発令された場合も、キャンセル料は発生しません)
キャンセル割引券
キャンセルフリーのお知らせがまだ出てないけど、心配だからキャンセルしたい!という方は、宿泊予定日の10日前から段階的にキャンセル料が発生します。
いただいたキャンセル料の8割の金額を「次回以降使える割引券(宿泊予定日から半年間有効)」として発行しているので、あまりネガティブにとらえず不安があればキャンセルすることをおすすめします(特にテントの方)。
過去の台風の記録
過去のブログを参考に、ここ数年の台風の様子を紹介します。
◆2024年
●台風5号:8月12日(月)に東北を横断、暴風警戒域に入っていませんでしたが深夜1時~13日朝4時ごろまで豪雨と雷。予報にはなかった局所的な豪雨でした。土砂崩れのため13日昼過ぎまで松井田妙義~佐久インター間が通行止め。テント1軒トンネル形テントのポールが曲がり半壊がありました。
◆2023年
●台風7号:8月15日(火)に関西を横断、一時キャンセルフリーの対応をしましたが、進路がずれたので後に解除。暴風警戒域には入っていませんでしたが、14日の20時をピークに線状降水帯が発生、強い雨が長時間続き長野原町に大雨警報が出ました。テントの崩壊など被害はありませんでしたが、サイトのえぐれが発生、いそぎ復旧作業を行いました。
3日前(8月12日)の様子、通過後(8月15日)の様子
◆2022年
●台風14号:9月20日(火)早朝に最接近、キャンセルフリーの対応でしたが大きくは荒れず、被害はありませんでした
前日(9月19日)の様子、通過後(9月20日)の様子
◆2021年
●台風9号:8月8日(日)最接近、一時フリー対応しましたが、進路がずれたので後に解除。
※台風ではありませんが、8月14日(土)に長野原町に大雨警報が発令されキャンセルフリー対応になりました。
●台風8号:7月27日(火)キャンセルフリーの対応でしたが大きくは荒れず、被害はありませんでした
◆2020年
2020年9月(12号)と10月(14号)は一時フリー対応しましたが、進路がずれたので2日後には解除。
日本に台風の上陸がなかったのは2008年から12年ぶりだそうです…
※台風ではありませんが、7月8日(水)に長野原町に大雨警報が発令されキャンセルフリー対応になりました。
◆2019年
●台風19号:ここ数年で最も勢力が強く、周辺道路は路肩崩壊・倒木・雨量制限で一時的に通行止め、陸の孤島に。キャンプ場には大きな被害はありませんでしたが、10月12日(土)宿泊分はテントサイトは宿泊不可、キャンセルフリーの対応になりました。
▲ 通過中の様子2019年10月12日
●台風6号:7月27日(土)宿泊分はキャンセルフリー。天気予報では大荒れの様子がなく、夏休みのためテントサイトにもお客様が多く宿泊。場内に大きな影響はありませんでしたが、深夜の大雨によりツールームテントの天井に水がたまりポールが曲がる被害が2件発生。
予報でたいしたことなさそうでも、台風は侮ってはいけないと痛感した一件でした…
◆2018年
●台風24号:9月30日(日)宿泊分キャンセルフリー、テントサイト予約者はコテージ・キャビンに移動提案。
▲ 通過翌日の様子2018年10月1日
●台風21号:9月4日(火)宿泊分キャンセルフリー、もともとお客様が少なかったためテントサイト宿泊者なし。強い勢力でしたが、直撃は免れ影響はさほど大きくありませんでした。
●台風12号:7月28日(土)夜に最接近、例年にない西に進む台風、暴風警戒域から離れていたのでキャンセルフリーにはせず。予想に反して強風のため場内外に大量の枝が落ちましたが、お客様に被害はなし。夏休みで翌日からチェックインのお客様が多く居たので急ピッチで場内整備したのを思い出します…。
▲ 台風通過翌朝の様子
◆2017年
●台風21号:10月22日(日)23日(月)宿泊分キャンセルフリー、テントサイトはキャビンに変更提案。林間エリアのキャビン(ミミズク・ポロ)もクローズ。おしぎっぱの森の細めの木が倒れましたが大きな被害なし。
▲ 通過直後の様子
●台風18号:9月17日(日)宿泊分キャンセルフリー、場内特に影響なし
天気予報・ライブカメラ・交通情報リンク
天気予報
- 気象庁 http://www.jma.go.jp/
- weathernews http://weathernews.jp
- tenki.jp https://tenki.jp/
- GPV気象予報 http://weather-gpv.info/
ライブカメラ
【ライブカメラ】軽井沢方面から国道146号を登りきった峰の茶屋付近
>>>国道146号:峰の茶屋ライブカメラ
【ライブカメラ】軽井沢の町周辺>>>軽井沢町
【ライブカメラ】吾妻管内の道路
・渋川伊香保インターから降りて長野原町へ向かう国道145号バイパス
・軽井沢方面から登る国道146号峰の茶屋付近
・上田方面から国道144号鳥居峠
・高崎方面から長野原倉渕線二度上げ峠
【ライブカメラ】ついでにキャンプ場から一番近い北軽井沢交差点付近
>>>北軽井沢交差点ライブカメラ
交通情報
まとめ
正直な話、台風の日の受け入れはスタッフも不安です。今まで、大雨で地面がえぐれたり、大きな枝がたくさん落ちたり、いつも温厚な地蔵川が見たことない勢いで流れていたり…
設営に問題がなさそうでも雨に押されてポールが曲がり、夜中に急遽キャビンへ避難した方が居たり(幸いケガ人はいなかった)。
台風が過ぎ去った後は、場内の枝拾いをしながら「みんな無事で良かった…」としみじみ思うのです。
台風が接近しているときは、
- 最新の天気予報を小まめにチェック(複数サイト見比べる)
- テレビやラジオでどれくらいの規模感か情報収集
- 移動経路は問題ないか(キャンプ場が晴れてても道中前が見えないくらい土砂降りなこともある)
- 無理しない
- 充分に備える(停電・断水)
無理をしないのが一番大事!!!
来場中に困ったことがあれば、状況に応じて最善と思われる対策を考えるので遠慮なくスタッフまでお声かけくださいね。