スウィートグラスが 「冬キャンプ日本一」となるまで

ネットや新聞でも取り上げられてすっかり市民権を得た「冬キャンプ」だが、スウィートグラスが通年営業を決断した2012年には、雪を心待ちにするキャンパーがこれほどいるとは思ってもみなかった。

きっかけは、きたもっくに新しい理念である「自然に従う生き方」が生まれたことだ。快適な夏を中心としたグリーンシーズンだけでなく、それらを育む厳しい冬も浅間高原の魅力だとして、新しい見せ方を探り始めていた。家族経営から大きく方向転換してカンパニーを目指した時期でもある。それまでのスウィートグラスでは冬季休業制を取っていたが、年間の四分の一がクローズとなると優秀な人材を確保することが難しい。いずれにしても通年営業の必要性があった。寒さと積雪でスタッフもへこたれる北軽井沢の冬。凍てつく風に吹かれて外から戻ってきたら、暖かい部屋で休息を取りたい(でなければやり切れない)。来場者と働くスタッフのために凍らない部屋が必要だった。しかし、希望に適した既製品はなかったし、外注するにもお金はなく、自分たちの頭をひねって作り出すことにした。マイナス20度を下回る気温に対抗する手段として「薪ストーブ」を採用し、ストーブを中心に据えた宿泊施設を建てた。赤々と燃える炎は視覚的にも体感的にも快適な暖かさをもたらしたし、火の周りでは料理や寛ぎといった楽しみが生まれ、語らいの場にもなった(後にTAKIVIVAのヒントになっていく)。

独創的な宿泊施設に加えて、寒さを逆手に取ったイベントも好評を博した。雪上運動会に始まり、ブラッシュアップされてきた『ホワイトフェスタ』。今年も2/22(土)~24(月)の3日間開催となる。閑散とした「避暑地の冬」のイメージを覆す、スウィートグラスの快進撃は続く。