キャンプ場は天然ホスピタル
スウィートグラス(キャンプ場)は、人と自然の接点となる“場”を提供することを業(なりわい)としています。
それは宿泊を伴う旅行(観光)の側面や、行楽・レジャーという側面を含んでいます。しかし主とする社会的意味合いは、人と自然の接点(場)を確保・供与することにあります。自然のリスクを適切にコントロールし、可能な限りの安全と安心の形態を整えることによってスウィートグラスの“場”は維持継続されてきました。
私たちは企業体として「The future is in nature – 未来は自然の中にある」を信念とし、合言葉としています。
自然(人間もまたその一部)は、自然の持つ安定的循環の営みを通して人々の生きる力を育み、リフレッシュさせる天然の「病院」でもあります。それは、主にメンタル面での効力ですがそれだけにとどまりません。森や木々のまばゆい新緑は、人体の免疫機能を高め、新鮮な空気や降り注ぐ太陽の光は、ウイルスやカビ菌を死滅させる強い浄化作用を発揮します。人と自然の接点は、人間が生きる力を得るために必要不可欠な存在です。
ウイルスやカビ菌類も自然の一部であり、人類の歴史はそれらと闘い又、共存してきたことを教えています。しかし、新型コロナウイルスの蔓延はこれまでの社会生活に牙をむき、社会全体を過剰な恐怖に陥れました。このウイルス禍は社会が抗体を獲得するまで継続し、収束するためには2年近くの時間を必要とすることがはっきりしてきました。
長期間に及ぶ新型コロナウイルスとの関係は私たちの生活スタイルを大きく変えることが想像されます。新しい生活スタイルは都市の過密構造を見直し、改めて「人と自然の関係」を問い直すことから見えてくると確信しています。
私たちは新型コロナウイルスの蔓延拡大に伴う社会的混乱を鑑み、自粛という名の休業(4/29~5/14)を決定いたしました。スタッフ一同、自分達の役割や仕事を考える上でよい機会が与えられたと前向きにとらえました。そして、この休業期間を利用して、新型コロナウイルス対応(出来る限り人と人の接触による感染機会を減らす取り組みー基本的には三密対策の徹底)に向けて、改善改革に取り組むことにしました。その上で、人と自然の接点(場)から、サービスのあり方を検討し、お客様との関係を含めた人と人のナチュラルな関係を作り上げます。
また、移動の自粛(制限)は、画一的にとらえられるべきではないと考えています。それは、人と人の接触機会を減らすことで解決すべきであり、移動自粛の名のもとに、人と自然の接点そのものを閉じるべきではないと考えるからです。(※” Door to Field ” キャンプのすすめ)
長期間に亘り、狭い空間(家屋)での巣ごもり生活を強いることは、家族や職場といった社会の基本的な組織を壊し、コロナ禍以上の多大な犠牲と将来にわたる弊害をもたらすことになります。既にそうした事例は多種多様に発生しています。コロナ禍によって、病院、医療の体制強化が求められると同様に、人と自然の接点であるキャンプ場もまた、今こそ天然のホスピタルとしてその機能を発揮すべきと考えるのです。
“人と自然の接点(場)”は屋外でのあり方や過ごし方が中心となります。アウトドアは密集、密接、密閉の三密に最も対処しやすい条件を併せ持っています。大規模なイベント・集会等の密集・密接を避ける工夫は当然ですが、家族単位を基本とするキャンプ場では予約制(人数制限)によって、容易に解決することができます。
私たちは昨年9月、スウィートグラスキャンプ場の25周年を迎えるにあたり、自分達が業(なりわい)として果たしてきた社会的役割を総括し、「家族再生」の場づくりであったと結論しました。コロナ禍の下での巣ごもり生活は、社会の最小単位である“家族”に対してより一層の閉塞感と崩壊の契機をもたらしています。自然との接点は“家族再生”の切り札であり、天然のホスピタルとなります。
三密を防ぐ様々な創意工夫の下、5月15日から新生スウィートグラスはスタートします。