あたりまえの日常を守る、場内整備・木と森と人のバランスを保つアーボリスト

キャンプ場スタッフのつぐつぐです。

今回は、休業日に行う場内整備を紹介します。お客様が目にする機会は少ないけど、キャンプ場を運営する上でとっても大切なお仕事です。

年に数回行うメンテナンス休業

通年営業のスウィートグラスも年に数回「休業日」があります。スタッフの休養や社内研修に充てたり、シーズン切り替えの料金設定を行ったり…普段なかなか手の届かないことをこの期間にやっています。

▼ 雪によって荒れてしまった地面を平らにする「転圧」(2017年4月18日撮影)

▼ お客様がいるとゆっくり作業ができない、コテージ・キャビンの塗装(2022年4月7日撮影)

 

春の大雪で過去最大の被害


ちょうど、今年は4月4日(月)~14日(木)までが休業日。休業直前の3日午後~4日昼にかけて雪が降り、深いところで積雪40cmほど。水分を含んだ重い雪だったので、太ももサイズの木や枝が4本ほど折れました。

▼ 入り口看板横のシラカバ(2022年4月4日撮影)

▼ トランポリン広場のサクラ(2022年4月5日撮影)

▼ ツリーハウスノア近くのシラカバ(2022年4月5日撮影)

▼ ジェロニモの滝近くのサクラ(2022年4月7日撮影)

ほか、こまごまと約70カ所ほど枝が折れました(落ちてきたらケガをするサイズでカウント)。

少なくとも私が働き始めた2015年以降でここまで樹木への被害が大きいのは初めての経験。枝が大きく成長したからなのか、雪が多かったのか、ここ数年重い雪が少なかったからなのか、要因はいくつかありそうです。

 

休業中にしたい作業はたくさんあるものの、枝を片付けることが最優先。フィールド管理チームが中心になり、テキパキ作業を進めてくれました。

▼ お客様に接する機会は少ないけど、施設や場内で何かあったらこの人たちに相談!という頼もしい存在

 

樹木のプロ、アーボリスト

スウィートグラスの姉妹施設「あさまのぶんぶん(地域資源活用事業部)」にはアーボリストが居ます。日本語では「樹護士」、林業や庭師の要素を含んだ樹の専門家です。

フィールド管理チームでも手に負えない高所の枝は、アーボリチームが回収してくれました。

▼ ロープとハーネスを使って木に登る(2022年4月7日撮影)

アーボリチームは、倒れるリスクの高い木の伐採や枝の剪定に、ときどき場内の木々を見に来てくれます。


▲ 2017年に場内で伐採したカラマツ、中心部がボロボロ


▲ キノコが生えた枝は強風や長雨で折れやすい

▼ 場内の枝落としの様子(2018年)「木の枝を落とすお仕事」


▲ この看板が作業の目印(2021年6月30日撮影)

 

木と人の共存を図る


アーボリストは、人間都合でただ伐るのではなく「木や森の視点で剪定や伐採を行う」のが特徴。

スウィートグラスは、何もない草原に人の手で木を植えたエリアがほとんどですが、一部はオープン前からあった森をそのまま活かしています。


▲ 林間エリアのナラやニレ、樹高は高く15m以上(2022年1月2日撮影)

四角くキレイに並んだ植栽にくらべ、テントサイト内ににょきにょきと木が生えているとレイアウトが難しい。ここ数年、テントの大型化もあり「じゃまだから伐ってほしい」という声もたびたび聞きます。


▲ スペースに制限があるのでキャンパーの腕を試される場所でもある(2021年8月6日撮影)

大きな木を伐れば、ぽっかり穴が空く。それまで遮られていた光が差し込んで新しい芽が育つかも知れない。逆に、風当たりが強くなり弱る木が出てくるかも知れない。


▲ 林間サイト中央のニレの木、弱っていたため2020年1月30日に短く剪定(2021年5月14日撮影)

自由に歩いて場所を移動できる動物と違って、根を張り同じ場所で一生を過ごす植物にとって「周りの環境」はとっても重要。個々で独立しているように見えて日当たりや風当たり、地面の栄養…などなど持ちつ持たれつ「森」としてお互いに影響し合いながら複雑なバランスで成り立っています

「人間都合だけでなく、森の都合も考える」この先、何十年、何百年とキャンプを楽しむためにはとっても大切な考え方ですよね。

 

自覚することでできる森への気遣い

森の都合を考えると今まで見えなかった発見があります。


▲ 2021年5月18日撮影

キャンプ場から車で5分、ルオムの森、百年の洋館横に樹齢百年を超えるナラの木があります。

たくさんの人をおでむかえしていたこの大木、少し弱っていたので2018年に土壌改良をしました。

人が入れないようにロープで区切った場所には、小さな芽吹きがたくさん戻りました。


▲ 2018年9月23日撮影

人の踏圧で地面がカチコチに固まり、根からうまく栄養を吸い上げられずに弱っていたんですね。


▲ 療養経過観察中ですが、毎年見事な新緑を見せてくれます:2021年5月18日撮影

「ただ歩くだけ」小さなことに見えますが、人数が多く頻繁に踏まれたら影響が出てくるかも。

▼ 春に咲くフデリンドウ、過去におしぎっぱの森で見られたこの場所から姿を消した…(2016年4月25日撮影)

「何気ないことで負担をかけている」と知ることで木や森、自然に気遣うことができる。おしぎっぱの森では、なるべく道を外れずに遊んでくださいね。

場内の木にハンモックやタープの張り綱を結びつけないようルールがあるのも同じこと(小さな事の積み重ねで木に負担をかけないように)。

 

違う視点で森を歩く

北軽井沢周辺では、昔、炭焼きが盛んだった地域性があってか広葉樹が多いです。広葉樹は切り株から芽が出て再び育つ「萌芽更新」をします。

ガスや石炭など化石燃料が普及する前、1960年代頃までは積極的に木が伐られ、薪や炭として使用されていました。おしぎっぱの森も薪や炭として優秀なナラの木が多い。よく見ると根元がくっついている木があることに気づきます。

▼ おそらく萌芽更新した木、1960年頃に伐られたと仮定すると60年が経っている

場内には、オープン当初からあったナラやニレの樹に加え、オーナーがせっせと植えたナツツバキやヤマボウシ・カツラやカエデなどがあります(1994年にスウィートグラスがオープンしたので、樹齢25歳前後が多い?)。

 


▲ 木立エリアに多いナツツバキやカツラ、まだ背は低いがぐんぐん成長中(2022年3月18日撮影)

▼ オープン当初と今を比較すると木々の成長にびっくりします

 

じわじわ感じる変化の時


小さいうちは気にしなくても良かったのですが、年々「枝の落下」が増えています。木も生長しているので、大きくなれば枝が増える。木陰で涼める人が増える分、枝が落ちるリスクが増えるのはごく自然なことです。

植物の時間軸は人間とくらべればとても長く、変わらないように見える自然も少しずつ変化をしています。人の需要も変わっていく。木と森と人との関わり方、バランスの取り方は、手探りで見極めていかなければなりません。

そう思うと、キャンプ場の自然に向き合ってちょうどいい関係性を探りながら「心地いい空間」を調えてくれているフィールド管理チームやアーボリチームは本当にすごいなあと思うのです。

 

まとめ:あたりまえを守る仕事

安全であること、きれいな状態を保つこと、それは、ほったらかしでは成し遂げられないこと。

自然はやさしいだけでなく、時に厳しい表情を見せます。リスクのある自然と快適な場作りと、森と人のちょうどいいバランスを保てるように。日々、フィールドに向き合ってくれるスタッフだけでなく、お客様の協力も不可欠です。

▼ ちょっとしたことで森への気遣いができます

全員が少しでも関心を持てると、この先何十年、何百年とキャンプを楽しむことができるのではないでしょうか。

 

★アーボリストについてもっと知りたい人はこちらをチェック

アーボリストの仕事道具、ロープとハーネスを使った木登り。たまに体験イベントをやっています。※イベント情報はこちらをチェック


▲ 過去に実施した体験イベントの様子:2018年5月26日撮影

★★★

※休業期間以外にも、お客様が少ない平日に工事や場内整備を行うことがあります。

お気づきのことはスタッフまでお声かけ下さいね。

 

キャンプ場北軽井沢スウィートグラス

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