きたもっくの自伐型林業と百年の時間軸

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きたもっくの林業は、できるだけ木を伐らずに残す林業だ。山の価値を多面的に捉え、計画的に伐採する「自伐型」を実践している。

季節によって作業内容は異なり、冬場は山での作業がメイン。自社が管理する二度上山(群馬県長野原町・面積約240ha)が拠点となる。広葉樹の多い天然林が特徴で、一部カラマツの人工林も広がる。木が水を吸い上げていない冬は、製材や薪に加工するのに適しているからだ。木々の営みに合わせて、剪定時期や森林整備時期を分けて、季節に沿った作業計画を立てている。

樹種によって特性が大きく変わり、季節ごとの様子(風向きや冷え込み方など)や土壌を熟知する必要があるため、地域に暮らす人が山仕事をするのが理に適っている(エリアが変われば、木に詳しいアーボリストと言えどお手上げというほど、日本は植生豊かだ)。身近な山の林業は、山麓の生活全般に関わってくる。地域に根差した仕事がしたい人にとってはもってこいの仕事だ。

同じ地域に暮らし冬の山の特徴を知っていてもなお、予定通りにならないことは多い。伐った木が強風にあおられて「戻って」きたり、吹雪で視界が悪くなったりと、天候によって作業を中止することもしばしば。そんなとき、別の作業地に移動することなく、山の中で隙間時間を有効に使えるのが「炭焼き」だ。剪定や伐採時に出る林地残材を活用でき、山もきれいに、新たなエネルギーも作れる。二度上はもともと、薪炭の山としての歴史があり、炭を作りやすい条件が揃っている。私達の冬の山仕事とどのように組み合わせるか目下検討中だ。

炭焼きだけでなく、山を歩ける適切な道の整備、伐るエリアと残すエリアの見極め、70年生のカラマツ林を「百年のカラマツ林」にする構想など、無駄な時間ができないよう分刻みの予定を組みながら、平行して、数週間、数年、数十年、数百年先を想像する。山が持つたくさんの役割(水源涵養、生物多様性など)を考慮して、伐るべき木を決めていく。

山の時間軸は人間都合では動かせない。季節の巡りを活かす、地の利を活かす。まさに、自然に従う生き方、そのものだ。

▼地域資源活用事業部 ポータルサイト「あさまのぶんぶん」

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▼夏の間の林業仕事

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