学生と共に考える 限界集落の未来
信州大学の全学横断特別教育プログラム「ローカル・イノベーター養成コース(LID)」と「ストラテジー・デザイン人材養成コース(SD)」の学生40名ほどによる合同合宿がTAKIVIVAで開催された。
このプログラムは学部を超えたコースに所属し、「地域」「世界」「環境」「データサイエンス」の未来を考える力や実践に必要な力を学ぶ信州大学独自の教育制度。LIDは、地域社会の現場が抱える問題を的確に分析し、革新的な解決策を考え実践するための力を身に付けるコース。SDは、経営戦略や政策策定、事業評価に必要な思考法とデータ活用力を身に付けるコース。両コースとも、企業や行政と連携して地域の現場に入ることで実践力を身につけることに力を入れている。
合宿のテーマは、きたもっくも重要なテーマとする「限界集落の再生」。長野原町狩宿をモデル地域に設定し、高齢化や住民減少、産業の消失など多くの課題を抱える限界集落の未来を考え、今取り組むことを考える。
初日、きたもっくの事業概要や価値観を共有し、狩宿地区にフィールドワークに向かった。自然特性や歴史を歩いて学びながら、きたもっくが手掛けた地産住宅などを見学。以降はTAKIVIVAに籠もり、時には焚き火を囲みながらチームで議論を重ねた。
3泊4日の合宿最終日。最終ピッチでは、林業や養蜂をコンテンツとして産業観光の視点で考えたチーム、地域を牽引する人に注目し事業支援の仕組みを考えたチームなど、学生ならではの新鮮な提案が行われた。
合宿に参加した学生は、新型コロナウイルスの流行によって対面での授業や学生同士のディスカッションを満足に経験できていなかった世代。彼らにとっては、ほとんど初めてのフィールドワークや他人との共創の機会となった。連日徹夜で他人と向き合い、本音で意見を言い合う。実践の現場を肌で感じる。そうして、自分ごとでリアリティのある未来を考えることができる。
学びでも事業でも共通しているのは、答えを導き出すことよりも、新しい問いや意図しない気づきを得られるプロセスが重要だということ。TAKIVIVAはクリエイティビティのあるプロセスを体験できるよう、ハードもソフトも含めてデザインされている。