養蜂で耕作放棄地の有効活用

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毎年6月中旬には梅もぎに行く。場所は東日本で3本の指に入る榛名梅林エリア。榛名山南麓の、緩やかな傾斜地に植えられた梅の木を眼下に望むことができる、群馬らしい緑の海だ。
かつては丹精込め手入れされてきた梅林だが、いまは訳あって世話する人のいない耕作放棄地。下草を刈るなどの整備をする代わりに、きたもっくが養蜂圃場としてお借りしている。のどかな場所で、梅に桜に菜の花、藤、ニセアカシアへとリレーするように花が咲き、ミツバチは忙しそうに蜜を運ぶ。

養蜂と耕作放棄地は相性がいい。周囲に高い樹木がなく、平らな場所で、蜜源となる植物がある。放棄地のためミツバチが嫌う農薬も使われない。
人にとって作業の辛い傾斜地にある急峻な段々畑なども、ミツバチにとっては問題にならない。標高差によって植生や花が咲くタイミングがずれ、面白いブレンドの蜂蜜が採れたり、採蜜量が増えることもある。
さらに、ミツバチによる花粉媒介によって、果樹や野菜などの実りがよくなるケースが多い。
放置すれば畑も果樹園も荒れて、野生動物との境界も曖昧になってしまうが、蜂の世話をする傍ら整備することで、景観を整え生態系のバランスを保つ一役を担う。

今年の梅もぎには、スタッフだけでなく一般参加者もあった。静かだった梅林に賑やかな声が響く。ミツバチを間に挟んで、新しく豊かな関係性が生まれていく。収穫した梅の実は、蜂蜜と合わせて梅ジャムに加工される。ストーリーのある梅ジャム「梅と蜜蜂の往復書簡」は、7月中旬発売予定。