きたもっく仕事図鑑24
薪暮らしをサポートする仕事

北軽井沢の冬は寒くて長い。11月から4月まで降雪の恐れがあり、暖房が欠かせない。薪ストーブは厳しい冬をともに過ごす、たのもしい相棒だ。

きたもっくには、薪ストーブの「かかりつけ医」みたいな部署がある。

きたもっくの地域資源活用事業部(通称:あさまのぶんぶん)は、地域の資源を有効活用する事業部。「持続可能な身近な山とのおつきあい」をテーマに山つながりのあらゆるもの(薪、はちみつ、薪ストーブ、リフォーム、原木、天板、建材、ツリーケアなど)を取り扱っている。

ライフスタイルに合わせた薪ストーブの選定から、設置施工、使い方のレクチャー、煙突掃除まで幅広く相談にのってくれる。

あさまのぶんぶん祭りで行われた薪ストーブ教室の様子

薪ストーブに憧れる人はきっと多いだろう。私も、きたもっく入社後4年ほど借家だったが、薪ストーブ付きの中古物件に引っ越し、憧れの薪ストーブライフを送っている。灯油ストーブもあるが、今では暖房のほぼ100%を薪ストーブでまかなう。火を育てる楽しみも、芯までぽかぽかになる暖かさも、段違いにおもしろい。

家に薪ストーブがなかった4年間も職場(キャンプ場)では毎日薪ストーブに触れて知ったつもりだったが、暮らしに取り入れないと見えてこない苦労があった。例えば、伐ったばかりの木は燃やせない。自然乾燥には最低でも1年かかるので、今年使う薪と来年使う薪を保管するスペースが必要。

▼我が家の5立米くらい入る薪棚、これに加え13立米ほど保管、庭が薪だらけになる

知らない人はどこかに卸してるの?と思うほど大量になる。そしてそれを保管する薪棚も必要。どうに積んだら乾きやすいのか?どれくらい必要なのか?など、わからないことだらけ。日々、試行錯誤。ネットで何でも調べられる時代だが、初歩的なことを柔軟に聞ける人がいるととても心強い。

あさまの薪では、用途に合わせて薪を選べる。薪づくりからやりたい人には原木や玉切りを、スペースに余裕がある人は未乾燥薪を、燃料としてすぐに薪を使いたい人には乾燥薪を。私のように暖房は100%薪ストーブの人も居れば、他の暖房と組み合わせて「週末だけ薪ストーブの炎を楽しむ」人も居る。無理のない範囲で続けられる、その人に合った薪暮らしの形を提案。

薪ストーブは、数年に一度、煙突掃除を必ず行う。「施工業者がメンテナンスする」と聞くと無口な職人が淡々と作業を行うイメージだが、薪の選び方からストーブの使い方、焚き方のコツを丁寧に教えてくれる。

▼使用状況により頻度は変わるが、定期的な煙突掃除は必須薪ストーブの煙突

煙突掃除はいわば「通信簿」、それまでどんな焚き方をしてきたかが顕著に表れる。伐ったばかりの薪を燃やすと乾燥が不十分なため、水を燃やしているようなもの。煙突にはタールがべっとり付き、空気が通りにくく燃えにくくなる。他の人とくらべる機会がないため、使い方はどうしても試行錯誤になりかねない。正しい使い方が出来ていたのか、答え合わせができるのは、ユーザーとしてもうれしいことだ。煙突掃除

煙突掃除などメンテナンスは、薪暮らしユーザーと接する大切な場。何気ない雑談から、住まいの困りごとを聞く機会にもなる。

屋根・外装の塗り替えやウッドデッキの貼替え、リフォーム、庭の木を伐りたい……など、建築や特殊伐採などの知識をもったスタッフもいるので、薪ストーブからあさまのぶんぶん全体の営業窓口につながっている。

▼リレーのようにチームからチームへとバトンが継がれることで完成した「暖居」

養蜂、庭木の剪定・伐採、地産木材の生産やそれを使った建築など、あさまのぶんぶんでは様々な事業を行っている。薪ストーブはもちろん、それぞれの事業の繁忙期、閑散期をなるべくうまく組み合わせて流動的に人的リソースを投入する。これによってスタッフにも総合力が養われ、提案の視点も広がる。

幅広い事業をやっているからこそ、包括的な薪暮らしのサポートが可能だ。地域のお客様と、点では終わらない末永いおつきあいを目指している。