きたもっく仕事図鑑31
山に道をつくる仕事
重機が動くと、としん、としんと地面が揺れる。目の前では高さ15mほどのナラの木が手際よく切り分けられていく。
2019年に取得した二度上山-にどあげやま-は、約240ヘクタール(東京ドーム51個分の広さ!)。ここの木は、薪や炭、建材として使われる。
山から木を下ろすには重機が通れる作業道が必要だ。今も道はあるが、強い雨が降ると、えぐれてしまうこともしばしば。
なるべく乾燥させるために道路際の木を伐り、日当たりをよくする。根っこが出ているような木も、のちのち弱って枯れてしまうのなら、あらかじめ伐って倒木のおそれがないようにしておく。
▼伐採前と後、明るくなったのがわかる
あさまのぶんぶんの林業チーム、この日は2人での作業。重機もチェンソーも音が大きいので、アイコンタクトやジェスチャーでコミュニケーションをとる。一歩間違えれば事故につながる危険がある中、先の作業を想像し、お互いの動きをよく見ながら、さりげなくフォローをし合う。テキパキと無駄のない動きが見ていて気持ちいい。
▼長さを2m10cmにそろえるため、メジャーで測って印をつける
(1人がメジャーを取り出したら、さっと端を持ってあげる)
▼細かい枝葉を切り落とし
▼根元を切りそろえる
▼2m10cmずつに切り分け
▼直径を測り、分類して印をつける
▼直径14cm以上は薪や製材へ、それ未満は木材チップやコロ薪、炭へ活用
▼枝葉や長さが中途半端なものは、道の脇に土留めとして置かれる
木を伐り倒す時、手を止めて斜面の下で作業する相手を見る。向こうが気づいたら合図を出し、木を伐る。「知らずにこっちに来ちゃったら危ないから、林業をやっていたら当たり前」と、自然に出来ることがすばらしい。
木が倒れる方向をどこにすれば他の木を傷めないか見極める。ササが生い茂る足場の悪い斜面で、ケガや事故がないように木を伐る順番から足の置き場まで考える。周りの状況を見ながら臨機応変に対応する。
▼枝振りを見て他の木に掛からないか、伐り倒す方向を見極める
群馬県内11カ所を旅する養蜂の巣箱、その最終地点はこの二度上山だ。蜜源となる樹種は、なるべく残す配慮も忘れない。
想像力と周囲を思いやる気配り、状況に合わせ判断する力。山での作業だけでなく、広くどんな仕事にも取り入れたいことばかり。何気なくできる林業チームを見習いたい。
切り開かれた道は、通る人が居なくなると草や木が生い茂り、あっという間に自然に飲み込まれる。適度に車が走ることで、固く丈夫な地面になり、草も生えにくく、動物たちもほど良い距離感をたもつ。
山の道は、森の一部(薪、建材、炭、ハチミツなど)を通し、お客様の手元まで続いていく。消費者も道作りの立派な一員なのだ。お客様と一緒に山の道をより強くしていきたい。