一本の薪から地域の自然と向き合う

高く積まれた35km圏内から集めたカラマツの原木

北軽井沢は古くから薪炭の生産地として、広葉樹と人が関わりをもってきた。ナラに代表される広葉樹の薪は、比重が大きいために火持ちがよく重宝された。きたもっくでも広葉樹薪は主力の商品として、地域に向けて供給をしてきた。

 

しかし現在、広葉樹薪が充分に作れない状態にある。グローバルな社会情勢の変化が、ローカルの産業にも影響を及ぼしているのだ。

 

構造材や合板などの建材には、主に海外産の針葉樹が使われてきた。しかし、様々な社会情勢によって北米やロシアから外材が入ってこなくなったことで、国産材へのシフトがおきた。たくさんの国産針葉樹が必要になり伐採される一方で、相対的に広葉樹が伐られなくなった。

きたもっくは自社山林で伐採をしているが、製造する薪の半分ほどは地域内から集めた原木を使ってきた。しかし現在、製造したい量をカバーするだけの広葉樹原木が地域にない。

 

では、薪は広葉樹でなければいけないのか?というとそうではない。針葉樹のなかで、広葉樹と同レベルで比重が大きく、薪に適しているのがカラマツだ。

落葉する針葉樹のカラマツ(落葉松)は寒冷地の環境に適し、固く粘りがあることから土木材や合板に使われる。北軽井沢は標高が高く、建材等に多く使われる針葉樹のスギ・ヒノキが育つには厳しい環境のため、カラマツが多く植林されてきた。カラマツは油も乗って火付がよく、比重も大きいため火持ちがよい。適切な含水率と太さなら、薪として優秀な木材だ。

国産針葉樹へのシフトで多く伐られたカラマツのなかには、建材には適さない低質材も必ず出てくる。低質材はバイオマス発電や製紙用として伐採地から遠方へと運ばれるが、きたもっくでは合理的に地域内で薪として活用するため、積極的に集材をしている。

薪はスイッチひとつで知らないどこからかやってくる便利なエネルギーではない。原木を外から買ってくれば、運搬コストも環境負荷もかかる。すでに伐採されている木を活かせずにむやみに山で伐採するのは、それこそ自然破壊ではないか。
薪はすぐそばにある自然と直結したエネルギーだ。薪を暮らしのエネルギーとして使い続けるには、身近な自然と人の持続可能な関係を作らなければ成立しない。地域の置かれた自然背景が一本の薪に込められていることを、私たちも自覚し消費者に伝えていかなければいけないだろう。