北軽井沢ライラック園の春

ロシアからやってきたライラックが北軽井沢に根付いて8度目の春。ひょろりと頼りなかった苗が、今では木陰を提供できるほどに大きくなった。約5,000㎡の敷地に200種もの品種が育ち、5月中旬~6月初旬の開花時期には色とりどりの花が風に揺れ、爽やかな香りが辺り一面に漂う。日本での知名度はまだ低いが、欧米では庭木や街路樹として人気が高く、古くから市民に愛されてきた。ブリーダーによって多くの品種が生み出され、色や香りが多彩なのも面白い。また、ロシアやフィンランドといった寒さの厳しい土地でも適応し、性質は強健だ。

きたもっくがライラック園を作ったきっかけは、草の根国際交流に始まる。近隣に別荘を持つロシア人のイリナさんにライラックの素晴らしさを教わり、香り満ちる初夏のイメージにすっかり夢中になった。イリナさんは世界的なブリーダーであるセルゲイ・エレナ夫妻に連絡を取り、ロシア中から苗を集めてくれた。北軽井沢では土づくり、植え付けをたくさんの人が手伝ってくれて、2013年に「ライラック園」が誕生した。

寒冷地に住んでいると春を待つ気持ちがひと際強くなる。落ち葉の下で生き延びる緑にエールを送り、霜にさらされつつも花を咲かせようとする木々に勇気づけられ、爆発的な春に歓喜する。たくさんの人が集まるお花見はできなくても、華やかな香りは風にのって遠くまで届くだろう。