薪ストーブの焚き心地
アグニヒュッテ「石窯コテージ・ムギ」宿泊者は必見!焚付から就寝時まで使い方をレポート
スウィートグラスのコテージ・キャビンは全棟薪ストーブ完備。その数なんと12種類!!
それぞれの異なる魅力を少しずつ紹介していきます。第一弾は2020年春に仲間入りした「アグニヒュッテ」です。
キャンプ場スタッフつぐつぐがレポートします(
焚き心地とは?
ひとことに薪ストーブと言えど、
それぞれの良さを検証できるように、
- 立ち上がりの早さ
- 薪の入れやすさ
- 火力調節の方法
- 炎の見え方
- 火の持ちやすさ
- 薪の消費量
- 部屋に対しての暖房能力
- 調理機能
※焚き方に「これが正解!」というのはありません。また、
アグニヒュッテ
岐阜県にある鋳造業の老舗「株式会社岡本」が製造。2016年にグッドデザインものづくり特別賞を受賞しています。コンセプトは愛犬のような「いつも傍らに居る君」。電気が絶たれても暖かく過ごせること、里山の森林問題解決の糸口として針葉樹も気兼ねなく燃やせること…などなど日本に適したデザインになっています。つくり手の熱い想いが感じられるストーブです。
▼ 詳しく知りたい人はこちら
外観&大きさ
幅330*奥行き520*高さ650mm
薪は最長で35cmまで、縦に細長く奥行きがあり、コンパクト。
フロントドアは片手開き、右上に空気調整のレバーがあります。どちらも木の取っ手がコロンとカワイイ。
小ぶりなわりに重厚感があり、レバーは「するする動く」と言うより重みがある印象。
▼ よく見ると「MADE IN GIFU」のレリーフと「think forest」の文字
操作方法&焚き付け手順
立ち上がり
結果から言うと素早い立ち上がりで、手がかからない印象でした。実際の手順とともに細かく説明していきます。
★アグニヒュッテがある「石窯コテージMUGI」は薪が宿泊代に含まれています。
専用薪置き場から薪を運んで、説明用ファイルを準備
今回はこれくらいのサイズ感で行いました。写真左から:細薪(3*3)・中薪(5*4)・太薪(7*7)※太さは大体の目安(cm)
※薪置き場には、中薪と太薪が混ざって置いてあります。ご自身で選んで分けておくとスムーズです
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★空気調整レバーが最大(全開)になっているのを確認
▼ 4つの●の大きさが空気調整の目安になります(小さいほど空気が少なくなる)
土台に中薪2本をセット
着火剤に火をつけ天井をあぶります(あたたかい空気が上に昇る習性を利用して空気の流れをつくる)
▲ 炎が煙突方向へ吸い込まれるようになったら空気の流れができています
真ん中に着火剤を置いて、炎を取り囲むように細薪×4+中薪×2本を井型に置きます(炎が上に伸びるように&薪が炎に触れる距離へ置くのがポイント!)
▲ 土台の中薪2本の上に細薪4本を置いたところ、この上にさらに中薪2本を置く
フロントドアを半開きにして様子を見ます(半開きがポイント!ガバッと開けるより隙間風が勢いよく中に入る)
着火後10分で細薪に火がうつり、勢いが増してきました。
▲ 撮影のためフロントドアを開けていますが、ガラス越しに中の様子を見てください
煙突への引きもよくスムーズに火が育ちます。
※煙突への引き:空気の引っ張り具合、引きが強いとそれだけ炉内に新鮮な空気が入りやすい。ストーブの構造だけでなく、煙突の長さや形状にも左右される。
▼ 着火から20分で細薪が崩れてきたので中薪を2本追加(フロントドアを半開きで様子見る)
▼ 30分で炎が炉内全体へ回ったので、フロントドアを閉める。
▼ 40分で最初に入れた中薪が熾火に、太薪を1本追加。
▼ 50分で底一面に熾火ができました。
火ばさみでならし、太薪を1本追加。ストーブ本体が充分あたたまった様子。
▲ ストーブ本体からカンカンカン…と音が出てきたら暖まってきた証拠
着火から約1時間でストーブから1m離れた場所でもじんわり暖かさが伝わるようになりました。
巡航運転
熾火ができて、炉内全域に炎が回るようになったら…空気調整レバーを動かし、炎の勢いを下げてゆっくり燃やします。
①新しい薪を入れてすぐは炎の勢いが強い
②炎が落ち着いてきたら、火ばさみで薪を崩す
③空いたスペースに新しい薪を足す
④フロントドアを閉めて炉内全域に炎が回るようになったら、空気をしぼる
★絞り具合は炎の様子を見ながら調整、炎が消えてしまうと温度が下がります。一部でもちょろちょろ炎が出る状態を維持してください。
①~④を繰り返し。形が残っている薪が常に1・2本あるように薪を足すと継続して燃えてくれます。
アグニヒュッテの空気調整レバーは、全閉にしても最小限の空気は入るので炎が消えることがないと公式webには記載がありました (全開にして薪全体に炎が回ったのを確認してから全閉にする)。慣れていない人は、全閉1歩手前に調整するといいかもしれません。
薪の入れやすさ
入り口が狭く、奥行きのあるストーブなので入り口付近がより燃えやすい印象。炉内の奥に燃え残りがたまらないように、薪を足す前に奥から手前へ火ばさみで平らにならす必要があります。
横長でガラス扉があるストーブとくらべ、薪が転がってガラスを割る心配が少ないです。それでも燃え進むと手前へ傾くので、なるべく奥の方へ薪を足すとより安心。
転がらないので、崩れないようバランスに気を使うこともないし、上に重ねてくべられるのはこのストーブの強みかもしれません。
炎
アグニヒュッテは空気をしぼるとすぐにオーロラ燃焼が見られます(熾火がしっかりある場合)。
※オーロラ燃焼:薪から出た可燃ガスに火がつき、オーロラのようにゆらゆら揺らめく状態。
アグニヒュッテの公式サイトにオーロラ燃焼の詳細が載っています。
ガラスの面積は小さいですが、とてもキレイな炎を楽しめます。
火持ちはどれくらい?
就寝時は薪をくべられないので、火が長持ちするように細く長く燃やします。
公式webサイトには最長燃焼時間6~7時間とあります。実際私が焚いてみたところ、4~5.5時間でした。
【 ポイント 】
①熾火をたくさん準備する
炉内の底全域に熾火を準備する
②薪は8分目くらいまで入れる
縦長・奥行きストーブの利点を活かして上に薪を積み上げます
③炎が消えない程度に空気をしぼる
炉内の炎の様子を見て、空気の絞り具合を調整しましょう。炎が全くないと温度が下がり、薪が燃える前に火が消えてしまいます。一部でも炎が出ている状態をキープ。
④空気をしぼってから10分は様子を見る
最初は炎があってもバランスが悪いとのちに炎が消えてしまうことがあります。10分は様子を見て、消えてしまったら炎が出るように空気のレバーを調整しましょう。
燃え進むと薪の形は崩れ熾火の状態に。灰はそのまま炉内にたまっていきます(灰があると火持ちが良くなる)
翌朝、火が消えていれば立ち上がりの手順からつけ直してください。
部屋との兼ね合い
アグニヒュッテのある石窯コテージMUGIは、石窯のある吹き抜けのダイニングとアグニヒュッテがあるリビング、その横に寝室、階段を上って2階にも寝室があります。
スウィートグラスの中でも、10名定員の大きめなコテージです。新しい施設なので気密性は高く、一度暖まれば冷えにくいはずですが空間が広いので暖まるのに時間がかかります。
リビングにつながる扉は全て閉め、リビングの温度が上がったら2階の階段の扉、次に寝室を開けて…と少しずつ温める範囲を広げていくといいかもしれません。
▼ 薪ストーブの両隣の扉が開いていると空間が広く暖まるのに時間がかかります
▼ ダイニングとの敷居(石窯側の扉)を閉めたところ
リビングの天井付近にあたたかい空気がたまりやすいので、サーキュレーターで空気を回したり、小さなお子様がいる場合、補助的にファンヒーターがあるとより安心かもしれません(サーキュレーター・ファンヒーターは有料でレンタルしています)。
私が焚いた日程は、2022年1月24・25日の9時~20時ごろ。両日とも晴れていい天気。焚き始めた9時頃の外気温は0℃、昼は5℃。
石窯の利用は無し、ダイニングとの敷居は開けずにリビングは21℃、寝室・2階は17℃まで上がりました。(2階は小さな換気扇をつけっぱなしだったので、換気扇を消せばもう少し温度が上がったかも)
調理
ストーブトップに熱は伝わりやすいです。
ケトルに8割水を入れた状態で、25分で沸騰しました。
炉内は狭いため、炉内調理にはあまり向いてません。オーブン利用は石窯を使ってください。
まとめ:オーロラ燃焼が楽しめる、小さいながらパワフルなストーブ
アグニヒュッテはオーロラ燃焼が楽しめる、小さいながらパワフルなストーブ。
小柄なので、2~3時間で消えてしまうかと思いましたが意外と長く火が残ってびっくり(薪をぎっしり入れていいのは、ほかのストーブにない特徴)。
▼ 熾火の上に形のある薪が3本、さらに新しい薪を4本。こんなに入れてもしっかり燃えるのがすごい
部屋が広く、暖まるには時間がかかるので、火は早めにつけた方が良さそうです。
ゆらゆら揺れるオーロラ燃焼も楽しんでくださいね。
公式web情報
アグニヒュッテ
・最大薪35cm ・最大熱出力7000kcal/h ・暖房面積100m2 ・燃焼方式:輻射 ・空気調整レバーは全閉しても炎が消えることがないと記載あり (全開にして薪全体に炎が回ったのを確認してから全閉にする) ・オーロラ燃焼は2~3時間持つ ・最長燃焼時間は6~7時間・広葉樹で約9kg入る
施設情報
石窯コテージムギ2020年4月24日オープン
※※※2020年12月にうまく燃焼しない、煙が逆流することがありあました。炉内天井付近の触媒の詰まりが原因で、現在、原因は解決しており問題なく使えます。当時宿泊されたお客様には大変ご迷惑をおかけいたしました※※※
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