キタコレ#10
そして伝説へ…焚火が灯す、見たこともない景色
きたもっくコレクション#10
きたもっくのグッドデザインを紹介する「キタコレ」第10弾は、キャンプ場スウィートグラスから。
さまざまなイベントが中止を余儀なくされるなか、社会情勢に対応しながらも続けている火祭りがあります。
天を焦がすほどに燃えあがる、火と煙に込めた想いをお伝えします。
焚火が灯す、見たこともない景色
アサマ狼煙は、スウィートグラスのイベントのなかでも異色である。
イベントというより「祭り」と言った方がいいかもしれない。
浅間山が雪化粧をはじめる11月。紅いのぼり旗めく広場が、真っ白な煙に包まれる。
横倒しの丸太や巨大なスウェディッシュトーチに火を灯すので、コンパクトな焚火台とは一線を画す、野趣あふれる空間が生まれるのだ。
クライマックスの「百人点火」では、参加者たちが一体となって火を繫ぐ。
手から手へと松明が灯されていく様は圧巻で、火の力を改めて実感する。
課題から生まれる、新しい試み
手探りではじまった前代未聞の祭りは、回を重ねるごとに発見と反省をもたらした。
人々を虜にする焚火の力は想像以上だったが、薪の消費量も想定以上。
2日分が1日で無くなったこともあり、提供の仕方に頭を悩ませる。
心ゆくまで焚火を楽しんでほしい気持ちと、薪を大切に使ってほしい気持ち─その狭間で試行錯誤が続く。
今年は、乾燥させた薪だけでなく、枝も用意する。
1本の木を倒しても、薪や木材になるのは8割。
残りの枝葉を有効活用する目的もあるが、そればかりではない。
商品として生産された薪と異なり、水分を含んだ枝は、着火が難しく煙も出る。
けれど燃え方が多様で、面白さも感じる。
枝を燃やす知恵と工夫は、焚火の楽しみを広げ、木々や山への理解を深めるだろう。
サービスの先にあるもの
アサマ狼煙と、そこから生まれた新規事業「TAKIVIVA(タキビバ)」。
両方の言い出しっぺである梶野さんに話を聞いてみる。
彼は、きたもっくを支えながら町政にも携わる。
若いスタッフに問いかけるのは「単なるサービスになっていないか?」
私たちが提供したいのは、焚火なのか?焚火から生まれる、何かなのか?
そんなことを今一度問いかけるために、我々は今年も狼煙をあげるのだ。
- 名称
- アサマ狼煙(のろし)
- タイプ
- イベントデザイン
- 事業地
- Sweet Grass
- 誕生年
- 2016年
- 薪の利用料
- 15㎥(2022年予想)
- 発起人
- 梶野寛丈