冬だからできること、したいこと②
真冬の炭焼きマジック
木を活かし、火を操り、山を保つ
剪定や伐採をすると、大量の木枝が発生する。
それを無駄なく活かしていたのが、昔ながらの炭づくりである。
林業の課題である林地残材も、かつては数多の炭焼き職人によって集められ、里山が美しく保たれてきたのだ。
細い枝の束は、粗朶(そだ)と呼び、炭窯の床に敷き詰める(敷き木)。
その上に炭となる小径木(炭材)を縦に並べ入れ、さらに燃料となる少し太めの枝を載せる(上げ木)。
ドーム型の空間に隙間ができないよう、さまざま形の木端も役に立つ。
材の立込みは、炭の出来を左右する大事な工程である。
点火し窯を閉めたら最後、焼き上がるまで中を覗くこともできない。
内部の状況は、煙突から昇る蒸気の色や匂いや熱で判断するのだ。
はじめは白い水蒸気が、酸っぱい匂いのする煙になる。
これを冷やすと、野菜づくりなどで重宝される木酢(もくさく)液になる。
やがて煙が青白くなり、匂いが消え高温で透明な熱気に変わると、水分やガスが抜けて炭化が完了したサイン。
給気口と煙突を外して窯を密閉し、火が消えて温度が下がるのを待つ。
炭から広がる、豊かな暮らし
本来燃えやすい木を、燃え尽きないように燃やして炭にする─
まるで魔法のようだが、出来上がった炭にも魔力が秘められている。
手伝いの傍ら、囲炉裏で餅を焼き魚を炙り、鉄瓶で茶を沸かす。
灰床に埋めておいた芋や卵を掘りだし、頬張る。
何もかもが美味しすぎて、時が経つのを忘れてしまうほどだ。
炭の力は、それだけではない。
無数の孔には高い吸着性や保水性があり、水質浄化や土壌改良など、環境問題を解決するほどのポテンシャルがあるという。
いつか私たちの手で炭焼きが出来るように、今は炭の魔力をお腹いっぱい蓄えるとしよう。
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我らが炭焼き師匠が、浅間高原のナラから焼きあげる「黒いダイヤモンド」。
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火付きがよく、目に沁みる煙も、嫌な匂いもありません。
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