【2022年 新年のご挨拶】深く身をかがめ 次の飛躍へ

2020~2021年はきたもっくの事業実践に対して、様々な栄誉ある受賞と顕彰の続いた年でした。コロナ禍に直面し混迷する状況下、「TAKIVIVA(タキビバ)」をオープンし、地域資源活用事業部の拠点であり、かつ地域におけるモノづくりの拠点と位置付けられる「あさまのぶんぶんファクトリー」の建設にこぎつけることができました。
こうした新施設と事業拡大の背景には、240haの山林(二度上山)の取得に伴う自伐型林業へのチャレンジや、耕作放棄地や農地活用による養蜂を核とした6次産業化等の、きたもっく“事業理念”に基づく戦略がありました。ローカルな弱小カンパニーにとって前のめりすぎないかという不安を抱きつつも、地域の課題に真正面から取り組み、“時代と社会の要請”に応えたいという強い思いが私たちを突き動かしたのです。しかし、これらの事業が十分な実績を伴い、輝かしいものとなるかどうかは次のステップで実証されます。私たちが自らそれを実感するためには更なる努力と時間が必要です。

この間、私たちの事業理念と実践において重要な課題とされたひとつに“情報技術の取り込み”と“デザイン感覚の指向性を高める”ことが求められました。この課題は、外部人材やクリエイターの協力を得るだけでは不十分であり、社内にしっかり蓄積され、DNA化することが必要でした。そのために私たちは、社内組織改革や特別なチーム編成を自在に作り出してきました。「スタッフ誰もがクリエイターであり、デザイナーでもある。」そんな職場イメージです。事業の『見える化・観せる化・魅せる化』はまだまだ端緒についたところです。しかし、その効果は確実に表れています。ある意味、この間の受賞ラッシュもそのひとつと言えます。

それにしても、私たちはなんと多くの賞賛を頂いたことでしょう。以前から自分たちの会社を“地域未来創造事業体”と位置付けてきましたが、2020年、経済産業省はきたもっくを「地域未来牽引企業」に選定しました。我が意を得たりの栄誉でした。また、農林水産省や群馬県からは「6次産業化アワード(食料産業局長)」「SDGsぐんま」等々いくつかの賞を頂き、TAKIVIVA事業では建築のリノベーションと事業コンセプトに対して国際コンペ「ASIA DESIGN PRIZE 2021」の大賞を受賞しています。そして、昨年末にはグッドデザイン賞2021において、栄ある金賞(経済産業大臣賞)を授与されました。このグッドデザイン金賞は、きたもっく全体の事業モデル(デザイン)に与えられたものでした。
こうした過分ともいえる栄誉の数々は、スタッフのみならず、関係する多くの方々と喜びを共にし、次のステージへ進むための勇気を与えてくれます。それと同時に私たちは、低迷する社会経済に活力を生み出すという大きな責任を自覚せざるを得ないのです。2022年は浮かれた年ではありません。身を引き締める年となります。深く身をかがめる者だけが次の飛躍を準備します。それは萎縮することではなく、力を溜めることです。

年末に「絶望ライン工」というYouTube動画を見つけました。とりわけ都市生活にある格差社会の現実と、職場や労働(仕事)に対するある種の諦め感、絶望感が才能豊かに表現されていました。2018年に発刊されたきたもっくのコンセプトブック『未来は自然の中にある』の中に、“私たちは「誇りある労働」を問い続ける”という章があります。“誇りある労働”を一言で定義づけるのは難しいのですが、社会に漂う絶望感は仕事(労働)に対して誇りを失うことに大きく起因します。「分配」の問題は格差社会の現象のひとつですが、働くことの誇りを失うことの方が絶望的です。こうしたことは、細切れの就労を余儀なくされる派遣労働制度だけでなく、社会の根幹を成す日本中の労働現場に共通して沈殿しています。
私たちの職場では、“誇りある労働”について絶えず議論されています。これからもそうです。何故なら、仕事に情熱を持てない職場では新しい産業はもちろんのこと、様々なイノベーションを生み出すことは不可能だからです。職場という場づくりは、協働を通した学びと成長の蓄積を果しつつ、スタッフ一人一人が必要とされる労働を積極的に組織できる職場を実現することです。そして、その組織された労働は誇りを満たす労働でもあります。

多くの受賞による賞賛を手にした私たちは、地域社会の活力を取り戻すべく、責任を担える実力を蓄えるときを迎えています。深く身をかがめ、次のステップの飛躍を準備しよう。

2022年元旦 福嶋 誠