きたもっく仕事図鑑27
雪原に火を灯す仕事
2月8日に「炎のまつり」が開催された。北軽井沢観光協会が主催、平成5年(1993年)から始まり、今年で31回目。その見所は大迫力の花火と雪原に描かれる松明ロウソクの地上絵だ。
長らくフォレストワークスの稲垣さんがデザインを手がけ、毎年、きたもっくからも数名がお手伝いで参加してきた。今年は稲垣さんが引退し、きたもっくがデザインから地上絵を担当することになった。
▼ きたもっくのクリエイティブスタッフ:木方さんがデザイン
いくつかデザイン案を作成、はばたくフクロウに決まったが、準備予定の6日には、まだ雪は足りず……
▼ 前日2月7日の様子
曲線をきれいに描くには根気と時間がかかる。地上絵は絵の中に入ると全体のバランスをつかめない。離れた場所から俯瞰で見る人とロウソクを動かす人、デコボコを避けながら協力して位置を微調整、繊細な作業だ。
天気予報を見ると、前日夜から当日が雪予報!当日は10時から地域のボランティアさんが集まってくれる。積雪に期待し、1日で作業が可能なデザインに変更した。
全員がドキドキしながらむかえた8日朝、なんとか積もった!!
▼ 集まってくれたボランティアさんは約30人!
平面にはファットバイクで下図を書き、ボランティアさんがロウソクを置いていく。斜面は滑りやすいので、きたもっくスタッフが担当。
▼ ときおり大粒の雪が降る中での作業
▼ 一足先に作業を終えたボランティアさん。真剣な大人の横で子供達はソリ遊びに夢中。こういうのも含め、とても良いイベントだなと思う。
▼ 隣の敷地では業者さんが着々と花火の準備中
▼ 15時過ぎには青空!最後の微調整、木方さん曰く直線的ではなく濃淡やゆらぎを意識
▼ 一般的なキャンドルとは異なり、松明-たいまつ-のように燃えるロウソクを使用
▼ 16時30分、神事、いつの間にかお客さんも集まりはじめる
▼ 17時点火、斜面は足場が悪いので上から順に自分の退路を考えながら火をつける
雪原に炎の絵が浮かび上がった。
▼ 上から、鳥の目で見るとこんな形
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終盤には、大迫力の花火
この日の最低気温は-7℃、日中も-3℃と終日氷点下だった。風も強かったので、体感温度は-10℃近くだったかもしれない。会場には、焚火炉が置かれ身を寄せ合って暖を取る。
ちょうど花火が上がるとき、雪が降ってきた。
みんな、雪がのった頭で空を見上げる。
火の粉が降ってきそうな距離感、腹に響く音、寒さなんか忘れる高揚感。
不思議な一体感があるイベントだ。
年々、雪不足に悩まされ、有志による運営も簡単なものではない。それでも地元民に愛されるこのお祭りは、とびきりの寒さの中、暖かい景色が広がっていた。