薪ストーブの教室【火をおこす】

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ショールームでユーザーさんと話していると「火がうまく点けられない」という声をよく聞きます。
早く暖まりたいのに、点かない。
お腹がすいているのに、点かない。
周囲からストーブに揺らぐ炎を期待されているのに、点かない。

腹が立ちますね。
ええ、ええ。よく分かりますとも。
火に馬鹿にされ、毎朝無駄に着火剤を使う日々。失敗談を挙げればA41枚には納まらない量があります。

たとえば…
・マッチが点かない(論外)
・着火剤だけ燃えて消えた
・焚き付けだけ燃えて消えた
・焚き付けに薪を追加したら消えた
・煙が逆流して騒いでるうちに消えた
・薪に火が移ったと安心したら、即燃え尽きて消えた

こんなことを繰り返していた私にある日、職場のNさんが「コツ」を教えてくれました。
それはとても簡単で、出来てしまえばどうして点けられなかったのか不思議に思えるほど単純なこと。

今日は、その「コツ」について書こうと思います。
そんなこたー知ってるさ!…という方は読み飛ばしていただいて、薪ストーブがあるのに未だ着火出来ず…と歯噛みしている方は是非お試しください。

1.薪ストーブに言い聞かせる

朝の着火風景。
乾いた焚き付けと着火剤、グローブとマッチの用意ができたら、薪ストーブの前へどうぞ。

薪ストーブと向き合って座り、左側にあるレバー「ダンパー」を奥へ押しやり、右側にある「火力調整レバー」を手前に引っ張ります。(ダンパーは、ヨツールなんかだとない場合があります)
高気密住宅にお住まいの方は、この時に窓を少し開けておくと「煙の逆流防止」になります。

2.煙突に言い聞かせる

薪ストーブの準備が整ったら、次は煙突です。
煙突をやる気にさせると後がスムーズ。

焚き付け用の細い薪を奥に1本横たえます。
その手前に、火をつけた着火剤を置いてしばらく放置。

火をつけてすぐは、取り澄ましたような火が細くあるだけです。
煙突が暖まり始めると、炉内の空気を引っ張り上げてくれるので、炎が踊り始めます。

炎が踊るまでは、ガラスでも磨いて時間を潰します。時期にもよりますが、2分くらいでしょうか。
ゆらりゆらりと動き始めたら、焚き付けを入れます。

奥に寝かせた焚き付けに、寄り掛からせるようにして置いていきます。
置くポイントは、火の通り道を確保すること。焚き付けと焚き付けの間で火がチョロチョロと顔を出せるくらい。
木にぶつかることで、火が四方八方に散るとバランスよく燃えます。

3.空気頼み

焚き付けに火が移り、火の勢いがついてきたら、半ドアに。
こうすると、勢いのよい空気が炉内に流れ込むため、炎が活気づきます。

観音開きになるドアであれば、写真のようにするといいです。
片側の火だけが強く燃えているのであれば、左右の扉を入れ替えて、前後逆にすると風向きが変わり、反対側が燃えていい具合です。

絶好調に燃えてくるまでは、灰や木端の掃除でもして時間を潰します。

いよいよ、炉内フィーバー!
焚き付けが程よく熾きになり始めたら、少し崩して、太めの薪を投入!

すぐに室内を暖めたい場合は、マツなどの早く燃える薪を入れるとよいです。その代り、すぐ燃え尽きてしまうため、熾きとしては残りにくい。
※薪を入れて即鎮火したことがトラウマになっている方は、やや太めの薪を入れて様子を見ましょう。
(よーく乾燥した薪であれば、焚き付けなしでも着火するんですけどね…)

薪足しが面倒な場合は、ナラなどの薪を入れると火持ちします。

そして、ドアをぴったりと閉じ、火が弱くならないか様子を見てください。
火が弱まったら、もう少し空気に頼りましょう。
どっしりと燃えていれば、そのまま放置してOKです。

4.エコ炊き

ストーブトップに置いた温度計が250℃くらいまで上がってきたら、「ダンパー」を手前に引きます。
手前に引くとダンパーを閉じることになり、じっくりゆっくり燃えるから、薪の節約にもなるんです。

この後は、薪を足していくだけです。
突っ込んだ薪の種類によって、様子を見に行く時間は変わります。

ひと仕事済ませてストーブの傍に戻ってくると、ヤカンにはお湯の準備ができていると思います。
美味しい珈琲でも淹れましょう!