きたもっく仕事図鑑36
先回りして凍結を防ぐ仕事

木々が鮮やかに色づくと浅間山も白く雪化粧、いよいよ冬がやってくる。厳冬期はマイナス15度を下回るここ、北軽井沢の冬は長い。

▼今年の初冠雪は2025年11月3日!裾野まで真っ白の浅間山

水は0度で凍り、体積が増す。水道の凍結を防ぐために水道管の水を抜く作業は北国では、あたりまえ。これを怠ると水道が出なくなるどころか、運が悪いと水道管が破裂してしまう。

水抜きは長時間水道を使わないときのみ実施。新しい家は断熱がしっかりしているので、長期で家を空けるときだけで充分だが、古い家は毎晩水抜きが必要で、家によって苦労度はまちまち。天気予報の気温とにらめっこしながら、ときにハラハラしながら冬を越す。

半屋外の共有施設(炊事棟の外水道、コインシャワー、ドッグシャワー、コインランドリー、作業用散水栓)は、暖房が効かないので冬期閉鎖。清掃を済ませ、水を抜き、春まで冬眠となる。

【 水抜きの流れ 】

▼来春までお休みになるので、水を止める前にしっかりお掃除
▼水抜き栓をゆるめ、蛇口を全開にして水を抜く。使い続ける水道と配管がつながっているので、いったん全体の水を抜き、冬季閉鎖の水道を止めてから再び水を通す…
▼洗濯機はホースの中、シャワーは室内の配管・蛇口内までバラし、しっかり水を抜く。ボタン1つで…とはいかない手間のかかる作業

屋内の共有施設(炊事棟、トイレ、薪焚きの湯、一部のコインランドリー)は、お湯が出て暖房も効いている(厳冬期のテントサイト宿泊のお客様からは「トイレがあったかくてほっとする」とよく言われるほど)。

▼使用するときは扉の開けっぱなしにご注意を

水は動いていれば凍らない。水道管に電熱線を巻き、夜間は水道をちょろちょろ出しておくことで凍結を防げる。暖房が効きにくい炊事棟は、-5℃を下回ると「ちょろ出し」をしていることがあるので、見かけても止めないようにご協力ください。

▼毎年、よく凍っていた第一炊事棟が今年の春にリニューアル!扉がついて暖房が効きやすいつくりに
いろいろ対策をしていても、凍る日は凍る(早朝にやかんを片手に右往左往するスタッフを見かけたら、どこか凍ったと思ってください)。

うっかりすると、下水の排水トラップが凍り、洗濯中に床が水浸しになったりする(スタッフ自宅にて経験談)。失敗を糧にして、日々の変化に敏感に、先回りして次の失敗を防ぐ。失敗も日々生きる上で大切な経験だ。
氷点下がめずらしい地域では考えられないことが、北軽井沢では起きる。それもまた、いろいろな発見があり、おもしろい。悪いことだけでなく、きらきら輝く氷の芸術もこの寒さゆえの景色。厳しい自然を絶えた人の特権。何気ない日々の暮らしが鮮やかでメリハリがある。
防寒対策をして、ぜひご来場ください。想いもしない体験に出会えるかもしれません。