市場ではなく「自然に従う」
自律的な組織を探求するコーポレートレベルズが見た きたもっくの経営

オランダに本部を置き、企業の自律的な経営やセルフマネジメントのあり方を探求するグローバルコミュニティ「コーポレートレベルズ(Corporate Rebels)」。先進的な組織運営を表彰する国際的な賞「ZeroDXアワード」において、きたもっくは同団体の推薦を受け、昨年に続き2026年度も「Emergent Excellence」を受賞した。

今年は世界から130社以上の応募があり、新設された日本支部経由の推薦が基本となるなか、きたもっくは昨年同様にオランダ本国からの推薦・受賞となった。授賞式では、主催者講演を行ったハイアールCEO、基調講演を務めたThinkers50創業者双方が「世界の事例」としてきたもっくの名を挙げた。受賞企業の多くをITや製造業が占めるなか、地域に根ざした「実業」の現場が世界基準で評価されたことは、心から誇れる出来事だった。

そんなコーポレートレベルズの日本支部「ジャパンセル」のメンバーが、今年の視察合宿の場としてきたもっくを訪れた。参加したのは、リレーションズ、スローガン、ネットプロテクションズ、ヤマネコなど、日頃から新しい組織づくりや人事に関わる面々。秋深まる北軽井沢で彼らが何を感じ取ったのか、当日の様子と参加者の声をお届けする。

「会社のあり方を揺さぶってくれる場所」を探して

ジャパンセルでは、月に1〜2回の勉強会やオフィス訪問に加え、遠方の実践地に足を運ぶ視察ツアーを毎年開催している。
「企業のあり方を揺さぶるような体験ができる先はないかと、日本支部を立ち上げてくれた令三社の山田裕嗣さんに相談したんです。その場できたもっくの名前が挙がり、『ぜひ行ってみたい』と話が進みました」

市場やカスタマーではなく、「自然に従う」ということ

滞在中は事業の歩みやビジョンを語り合い、北軽井沢のフィールドや製造拠点を案内しながら組織についてディスカッションを重ねた。また、今年7月に開業した「キタカルバイクパーク100」では、森の立ち木を活かしたコースをマウンテンバイクで駆け抜け、きたもっくが実践する「生業と遊びの循環」を体感していただいた。

そうした対話と体験の中で、参加者の心に深く留まったのが、「自然に従う」という前提だった。
「一般的なビジネスは売上や市場、カスタマーに従うものですが、きたもっくは浅間山の自然のあり方を起点に事業を営んでいる。あらゆる事業や人への向き合い方がそこに基づいていると知り、大きな気づきがありました」

参加者の中には、以前から合宿施設「TAKIVIVA(タキビバ)」を利用していた企業もあった。
「以前利用した際も素敵な雰囲気だと感じていましたが、その根底にある哲学までは知りませんでした。今回背景を知ったことで過去の体験と繋がり、より理解が深まりました。火を囲んで時間を過ごす体感を踏まえ、『会社として何を大切にすべきか』を受け取る解像度がこれまでと一段違ったものになりました」

焚火を囲むと、自然と役割が生まれていく

日中の対話を終えたあとは、野外での食事作りと焚火の時間だ。自然の中に身を置くことで、参加者同士の関係性にも自然な変化が生まれていった。
「夜のBBQや焚火では、事前に申し合わせたわけではないのに、火をおこす人や肉を焼く人など自然と役割分担ができていました。初対面の人もいたのに不思議な一体感があり、空間や環境が持つ力の大きさを実感しました」

自然に囲まれることで、人と人がじっくり向き合う時間。そこには、普段のオフィスワークとはまったく違う時間の流れがあったという。
「日常の緊張から離れ、ゆったりと流れる時間そのものが贅沢でした。最後の夜、焚火を囲みながらみんなで感想をシェアした時間は本当に豊かでしたね」

また来たいと思える場所

自分たちの組織のあり方を問い直し、自律的な経営を模索し続けるメンバーたち。市場原理から一歩離れ、北軽井沢の風土や「自然に従う」営みに触れた今回の合宿は、それぞれの現場に戻ったあとの確かなヒントになったようだ。

参加者からこぼれた「また来たいと思えますね」という言葉は、迎えた私たちにとっても心に残るものだった。世界からも注目される自律的な組織のあり方を探求しながら、火を囲み言葉を交わしたこの時間が、それぞれの現場で新たな芽を育てるきっかけになれば幸いだ。