きたもっく仕事図鑑20
宿泊場所を決める仕事

スウィートグラス(キャンプ場)に「落とし込み-おとしこみ-」と呼ばれる業務がある。予約された施設やテントサイトの中から、具体的な区画(ホテルで言う部屋番号)を割り振る仕事だ。
▲昔は紙に手書きだった作業も2015年にパソコンでできるようにシステム化された

スウィートグラスは、今の時期(ソロサイト以外)区画が決まっているオートサイト。先着順では無く、あらかじめスタッフがサイトの割り振りを決めている。ランダムに割り振るのでは無く「なぜこの人をそこにしたのか」、根拠を持つよう心がけている。
▲1区画ずつ区切られ、車乗り入れ可能なオートサイト
▲冬期には区画が区切られていないフリーサイトがある(場所は先着順)

キャンプ場によっては大人のみのグループを断ったり、ソロやデュオを推奨したり、来場する客層をそろえる場所もあるが、スウィートグラスは制限を設けていない。ファミリーもソロも、初心者も玄人も、犬連れもキャンピングカーも、老若男女いろんな人を受け入れる。なので、落とし込み業務はとても悩ましい。
▲区画に収まればキャンピングカーも宿泊可能、車が入りやすいように端に割り振ることが多い

人によって快適だと思う条件はさまざま、トイレ近くがいい人も居れば、見晴らし重視な人も居る。最低限の人数構成(幼児や犬連れ)が重要な情報となる。

※予約時には正しい人数の入力をお願いしたい!

来場者のニーズに加え、サイトの条件もある。日当たりや雨天時の水の溜まりやすさ、傾斜や人通り…さらには、他の宿泊者との兼ね合い(ガラガラなのに隣接している)など、全体のバランスを見ながら場所を決めている。
▲大空サイトは全部で21区画:夏は日陰を優先的に、冬は日当たりの良い場所を優先的に割り振る
▲各サイトごとに特徴をまとめた場内マップは落とし込み業務にかかせない

連日予約が埋まるお盆やゴールデンウィークは、パズルのようになるので、全ての人を満足させる割り振りは出来ないかも知れない。できるかぎり多くの人が心地よく過ごせるように、担当者は頭を悩ませる日々が続く。
▲実際の位置関係や距離感はパソコン上ではわかりにくいので、現場を見て割り振りに反映させる

通常、来場の1週間ほど前には大枠の割り振りは完了している。「足が悪いのでトイレ近くが良い」「トイレトレーニング中の子どもがいる」「友達の近くが良い」など…のっぴきならない事情がある人は、予約後早めに希望を出してほしい(カスタマーセンターに電話で伝えるもしくはweb(予約マイページ)の通信欄へ)。

実際は、チェックインギリギリまで割り振りの変更を行っている(修繕やアリの発生、バッテリー上がりで前泊者のチェックアウトが遅れているなど、理由はさまざま)。希望に応えられないことがあることもご了承いただきたい。

使い勝手が良い道具や住みやすい家など、ユーザー目線でつくられたものは、ストレスが少ない。落とし込み業務も、過ごす人の視点で居心地の良い場所選びを目指している。